何とも言えない不思議な話である。 特に奇異に感じるところは、あやかしの容姿が典型的な“死神”そっくりであり、また銀の仮面のビジュアルもステレオタイプの造型であるという部分である。 いかにも禍々しいものが電車の車両の上にあるという光景は、体験者…

非常に希少性の高い、そして不快感たっぷりの怪異である。 あやかしに魅入られて病気になるという話はかなりあると思うが、これほどまでに具体的な移され方をするケースというのは初見である。 しかも洟・脂・膿が顔に掛かってくるのを防げないという不快感…

この事象そのものが怪異なのかの判断が非常に難しい、というよりも怪異でない可能性の方が極めて大きいと思ってしまうような書き方になってしまっている。 一番厳しいのは“身長２メートル”の人物が果たしてそれだけであやかしとして認識できるかということで…

体験者自身が自分に降りかかった怪異についての原因を解釈するのは、怪談を書く上で相当危険な行為である。 当事者であるために生じる“思い込み”という主観の呪縛から逃れることができず、全くトンチンカンな発言を繰り返してみたり、起こった怪異を誇大に強…

いわゆる『○○二題』ものの怪談であるが、この種の作品に対する評価の基本は“二題にする意図がどこにあるか”というところであると考えている。 それを念頭に置いて読んだが、結局この作品の場合、単純に１つだけではネタとして弱いから併せてみたというレベル…

良い意味での因果応報譚の方向へ持っていこうとしているのは判るのだが、ただその応報の部分の説得力に欠けるのではないだろうか。 霊が体験者の邪魔をして入らせないようにしたために、順番が狂って当たりくじを引いたというニュアンスの展開なのであるが、…

非常に希少な怪異として評価する一方で、最後にとんでもない地雷を踏んでしまったために、敢えてマイナス評価を付けさせていただいた。 起こった怪異であるが、最初は化かされたのではないかという印象が強かったのであるが、子供が呟いた言葉を読むに至って…

日常に起こった非日常の怪異としては、上品にまとまっているという感じである。 わずか数行で“にんにくくさい”という言葉だけで終わってしまうような“投げっぱなし”怪談に仕上げることも可能だと思うが、敢えて体験者の何気ないリアクションを入れて少々長め…

水玉模様の全身タイツのようなものを身につけたあやかしは登場しているものの、どう贔屓目に見てもこれは超常現象を中心とした怪異譚足り得ない部分ばかりが突出した内容になってしまっている。 怪異の中心である全身タイツの男の存在はあくまできっかけであ…