2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【−1】イントロ

状況から考えると、聞こえてきた“かごめかごめ”の歌は聞いていた曲に入っていたものではなく、外部から入り込んできたものであると解釈したい。 そして寺から襲ってきた波動と、この音の怪異はセットのように見えてくる。 要するに、問題は聞いていた曲では…

【0】誰かおるでぇ

小ネタとしてはかなりインパクトのある怪異であると言えるだろう。 だが、最初の状況説明が非常に分かりにくい上に、結局怪異に直接的に関係していないわけであり、コンパクトにまとまっているように見えていながら実はバランスの悪い構成になっている。 他…

【−5】わたし、やだよ

体験者の感想は尤もであるとは思うのであるが、結局のところ、怪異を怪異たらしめるための根拠らしいものがほとんどない、あるいは全く説得力を持たないという点で評価は限りなく低いものとさせていただいた。 2つの目撃談であるが、たとえそれがあり得ない…

【+2】おまじない

いわゆる正統なプロセスを経て得たものではないにせよ、呪術と呼びうる内容の怪異であり、その呪術が発動している様子が克明に記述されている点では非常に希少な内容であると思う。 少々細かく書きすぎてスラスラと読むには苦しい部分もあるが、それでも丁寧…

【−3】家鳴り

最後に提示された“阪神大震災”の一言で全てがぶち壊しとなってしまった。 家鳴りが超常現象によるものであると想定しても、なぜ1ヶ月以上もタイムラグのある大震災と関連付けようとしたのか、全く理解に苦しむところである。 しかも家鳴りの起こった時間帯…

【0】うしろ

怪異だけをコンパクトに切り出してしまったために、もっと広がりがありそうな怪異の内容がこぢんまりとしてしまった感が強い。 “九州”とか“人柱”とかいう非常にインパクトのある言葉が発せられており、掘り下げればもっと何かが出てくるのではないかと期待感…

【0】ポチのアルバム

死の知らせと予知夢とが同時に起こったという怪異であり、評価とすれば、どれだけの“精度”で確認できたかということに尽きると思う。 死の知らせとしては、夢の中であっても実際に自分の飼い犬であると認識が出来ており、またその夢を見た時が犬が死んだのと…

【−6】千鳥が丘公園

結論から言ってしまえば、怪異と呼べるだけの内容が全くないということである。 残念なことに、千鳥が丘公園に関する怪情報を確認したことはなく、また火葬場跡地であるから必ず怪異が起こるというものでもない(それを言いだしたら、過去の歴史を紐解いて人…

【−1】深夜の横断

あやかしの姿が時々刻々と変化して見えるという事象は、それほど珍しいものではない。 そういう変化に着目して一つのストーリーに仕上げるという手法も当然ありだと思うし、なかなか興味深い内容になると思う。 しかしこの作品の場合、この変化の書き方が非…

【−2】石垣

城の石垣(書かれている内容からすると、観光施設として作られたものではなく、実際の城郭の遺構として残されているもののようである)に異空間ができて、そこから男性が顔を出し、さらには体験者と会話をおこなうという、かなり希少な怪異体験であると思う…

【0】添い寝

視点を変えることで面白い切り口を見つけてきたという印象であるが、詰まるところ“金縛り”ネタの延長線上にあるカテゴリーに属する作品であることは間違いない。 そういう見方をすると、最後の一文で実に小気味よいオチを決めている点は評価できるが、その部…

【0】赤い髪

非常にウエットな展開であり、怪異の内容もなかなか希少なものであると感じる。 しかし読んでいて強く感じたのは、怪異を中心として構成された作品というよりも、体験者の人となりを紹介したロングインタビューという傾向が色濃く出てしまっているという印象…

【+4】渡らずの踏切

登場人物の名前や状況を鑑みれば、この作品が今大会において投稿された一連の怪異譚の“連作”的なものであることは間違いないところである。 そのせいもあるかもしれないが、冒頭にあるべき登場人物同士の関係であるとか、途中で登場する渉氏の行動に対する霊…

【+1】カウント

突然残りカウントを告げられるという不条理極まりない内容の怪異であり、何かの予兆を表す怪異ではないかと、読み始めてかなり緊張感を強いられた。 ところが、カウントがランダムであることが分かり、しかもカウントゼロに限りなく近づいたからといって何か…

【−1】気付かなかった

文章もこなれているし、また過不足ない表現でそつなく読ませるだけの力もあると思う。 しかしはっきり言って、怪異の内容が陳腐すぎて、いかに文章的努力でカバーしようにもしきれるものではないということに尽きるのである。 ある意味、この種の怪異を表現…

【−3】銭湯

あやかしの見えているシチュエーションがすんなりと理解できるような描写ではなく、その点でマイナス評価とせざるを得ないというところである。 明らかに生身の人間が入り込める場所ではないということは理解できるし、またあやかしの見えている姿があり得な…

【−1】生えてる

背中に手が生えているという怪異であったならば、取りたてて書くほどの内容ではないと思うのであるが、その手に菊の花束が握られているとなれば、かなり希少性の高いものであると言えるだろう。 それ故に小ネタではあるものの、インパクトの強い怪異であると…

【0】指切りげんまん

下手な解釈を施さずに、ひたすら“あったること”でほとんどをまとめ上げた点は評価できる。 この種の話は類話が多く、この作品の場合も途中で結末が分かってしまったが、その類話の多くは現れた霊体を善悪どちらかのカテゴリーにはめ込むことでストーリーを展…

【−2】ガシリ

怪異についての具象性に欠けるために、かなりのマイナス評価とさせていただいた。 最も致命的なのは、髪の毛のボリュームが判らないので、髪の毛の中で手を掴まれるというイメージが非常にしづらくなってしまった点である。 かなり髪の長い人だろうとは推測…

【+2】もじゃっ

いわゆる色情霊・性霊と呼ばれる霊体の仕業のようにも見えるが、それらの霊特有の攻撃性や執拗さがあまり感じられないため(色情霊は男女問わず、欲望のまま“精を吸い尽くす”というのが基本行動とされる)、もしかすると相手の男性の“生霊”がなせる怪異とい…

【+1】僅かの隙間

隙間から全く別の“異界”が広がるという話は割とよくある話であるが、扉の隙間が動かなくなってこのような現象が起こるというのは初見であると思う。 しかもこの作品における怪異は、体験者とその母親が全く同じシチュエーションで遭遇しているために、非常に…

【−1】五百円玉

もしこれが創作もOKの怪談の大会に出された作品であるならば、おそらく高く評価していたと思う。 過去に犯した自らの罪に対する良心の呵責とも言える、先輩の腕のあやかしを目撃して恐れおののく体験者の心理が嫌が上でも理解できるからである。 体験者が…

【0】応援

怪異についての解釈が非常に難しいと言わざるを得ない内容である。 要するに、体験者と従兄弟の複雑な事情があったからこそ怪異と遭遇することになったのは事実ではあるが、果たしてそれと怪異そのものが関係しているのかと問われると、かなり微妙な線上にあ…

【+2】腹の傷

余り類例も聞いた記憶がないような、不思議な怪異譚である。 単に異様な傷が浮かび上がっただけではなく、一時的ではあるにせよ自分以外の家族がその傷についての記憶を有していたというところに異常さを感じる。 ある種の“異界”に体験者がはまりこんだので…

【−5】やめて

文字数をどこまで削れるかだけを競って書かれたような作品である。 それ以外の部分で見るべきものはないし、これを投稿してきた書き手の意図を推し量ることすら出来ないわけである。 どう考えても、「こんな恐ろしい体験をしたので書いてみました!」という…

【−4】霊園で肝試し

一応怪異は発生しているのだが、肝がそこになく、結局友人の仕打ちとヤンキーとの恐怖の方が目を惹くことになってしまった。 怪異が起こっているから怪談の範疇には入るが、完全に内容は外してしまっているとしか言いようがない。 最後の一文などは蛇足とい…

【−2】送信中に

書かれてある言葉そのものは明快なのであるが、その状況をイメージすると、途端に非常に怪しいものになってしまった。 誰も立つことが出来ない壁際にもかかわらず、自分の携帯電話の画面には後ろから覗き込む複数の人間が映り込んでいたという内容である。 …

【+2】小窓

怪異の内容の描写もさることながら、とにかく笑いのツボがドンピシャとしか言いようのない作品である。 散々「天狗が出るぞ」と脅しておきながら、いざその天狗が目の前に現れているところで「天狗などおらぬ」の爆弾発言は、まさしく吉本新喜劇のギャグパタ…

【+1】キッチー

怪異の内容としては霊の出現と“アポーツ(物品引き寄せ)現象”が挙げられるが、一番注目すべきアポーツの方が、実際に入っていた1万円札そのものについての情報がほとんどなく、怪異の記録としてはやや不発気味という印象であった。 もしかすると書き手がス…

【−4】天井に

風呂場の天井にめり込んだ手形があるという事実だけでは、それを怪異とみなすことはほぼ無理だということに尽きる。 もしこれがユニットバスならば、よほどの力で押しても手形が付くことは考えられないので、その手形そのものの存在でも怪異と認識することは…