【−5】やめて

文字数をどこまで削れるかだけを競って書かれたような作品である。
それ以外の部分で見るべきものはないし、これを投稿してきた書き手の意図を推し量ることすら出来ないわけである。
どう考えても、「こんな恐ろしい体験をしたので書いてみました!」という記念投稿にも見えなければ、「これで商業誌デビューを果たすぞ!」という野望が透けて見えるような力作にも見えない。
このレベルの怪異を提示されても誰も驚かないし(おそらく小学生の怪談話でも軽くスルーされるレベルだろう)、いくら話がコンパクトにまとめられていても、これだけで評価を受けるような種類のものではない。
過去にも大量投稿で小ネタを連発されていた書き手がいたが、さすがにここまでひどい小粒ネタはなかったと記憶している。
はっきり言えば、このネタをこの大会に投稿した時点でマイナス評価である。
さらに文字数そのものについても、結局この程度の怪異であるために書きようがない、つまり恐ろしいまでに努力をした結果ここまで文字を削ったという風にも見えない、どちらかと言えば、元から少ない情報を繋いで適当に削ったという印象しかないのである。
一応怪異が書き留められているので最低評価は敢えて避けさせていただいたが、個人的な見解では最低に限りなく近い作品という感想である。
“薄造り”と称してかつらむきの大根みたいな刺身を出されても、調理した職人の技量は上がったかもしれないが、食べさせられた側からすれば「憤懣やるかたなし」ということである。