2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【+1】暴挙

お盆のお飾りものを事故とはいえブッ壊した孫のおこないも暴挙であり、お仕置きとばかりに孫の左肩に噛みついた祖父ちゃんのおこないも暴挙であるということだろうか。 体験者は完全に祖父の仕業であると思っているようであるが、そのとんでもないやり方から…

【+5】女伝え

“乳歯”や“小動物の頭蓋骨”や“竹筒に入った木片”といったおどろおどろしい呪術的な道具に対して、“プチプチ”や“アリナミンの瓶”や“池袋のマック”や“レッスンバッグ”というアイテムを配することによって、奇妙なバランスを保っていると言える作品だろう。 全体…

【−1】怒風

神様と不条理という全く相容れないコンセプトによって怪異が成立しているために、読む者を困惑させるとしか言いようのない作品だと思う。 いわゆる“神様系”怪談の観点から見ると、倉本さんの行動は全く理解不能であり、何故唐突に社の扉を開けて神を冒涜する…

【+2】おみそれしました

何気ない日常の中で繰り広げられる怪異としては、なかなかいい味を出している内容だと思う。 特に怪異への入り口のさりげなさは、非常に好印象である。 最初はもしかすると体験者の思い込みではないかと思わせるような不思議(単なる偶然ではないかと感じる…

【+4】塩壁

原因と結果だけは明瞭なのであるが、何故そのような装置が必要となったのか、何故その装置でないといけないのかという部分がスッポリ抜け落ちているために、良い意味でモヤモヤとした怪しさが全開となっている。 そして何気ない生活から一変して禍々しい状況…

【+2】白煙

単にオーラが見える能力を身につけた話かと思わせておいて、一気にオチに持ち込んでいく展開はなかなか面白い。 小ネタの“お笑い系”怪談としては良い出来だと思う。 しかもオチの面白さだけで勝負しているのではなく、文章自体も非常に簡潔で読みやすいとい…

【0】1cm?

“隙間”の怪であるが、どちらかというと定番の怪異の一つであり、新奇さの点では弱さを感じるところである。 話者(あるいは作者)としては、隙間の怪異が全く異なる場所で起こっていることに不思議を感じているが、その怪異そのものの頻度がある程度高いため…

【+1】訪問者

多くの指摘がある通り、建物に関する説明が非常に分かりにくく、かなり混乱した(地図に書いてみても、すぐには判らなかったほどだ)。 かといって“一軒おきに死者が出る”という法則性に関する怪異はそれほどインパクトがなく、むしろ怪異のおいしいところは…

【+3】少女時代

何ら劇的な盛り上がりもなく、ただ淡々と霊体の目撃の記録が書かれているだけのであるが、すごく魅力的な作品に仕上がっているという印象である。 ほとんど説明的な文がなく、描写を中心として展開されているために、非常に詩的な雰囲気が強いためであろうか…

【−1】使われないコップ

怪異であるための必要条件は揃ったが、十分条件を提示できなかったという典型的な作品。 夜中に突然動き出すピエロの人形は、やはり目撃した者に恐怖感を与えるだけの強烈な存在であることは確かである。 少々位置関係がわかりづらいという問題はあるものの…

【−2】見る男、連れ女

連作のフィナーレを飾るだろう作品であるが、この大会の主旨である単独作という評価でみれば、まさしく“詰め込みすぎ”という感想しか出てこない。 広瀬君の“見え方”などは、心霊に関する研究をしている者からすれば実に興味深い記述の連続であり、個人的には…

【−1】慣れ

“慣れる”という現象の一番怖いところは、異常な状況であるにもかかわらず、それが当たり前のようにしか思えていないという心理を持つことである。 この作品の場合、書かれている内容と同時に、記述そのものにも“慣れ”が生じているのではないかという印象を持…

【−1】ズーイズーイ

体験者自身が、そのあやかしについて明確に目撃できていないという印象が強く残った。 水中のUMAの目撃という場合、水面に出てきたコブとかの目撃でないと信憑性は低くなると思うし、体長2メートル程度の影だけではUMAとして特筆できるようなレベルで…

【−3】山姥の夜

“実話怪談”としてのリアリティーを維持するために、果たして“民話調”の文体を選択する必然性があったかということを考えると、自ずと評価は大きくマイナスとなってしまった。 基本的には“あったること”を前提にして読むことになるのだが、作品全体の調子が“…

【−1】そういう運命

この作品をマイナス評価とした理由はただ一点、体験者の解釈である。 もしこの大会の趣旨として“実話を元にした(創作的)作品”が認められるのであれば、間違いなくこの作品に対して高評価を下すだろう。 しかし、この大会で求められているのは“実話”であっ…

【+2】何故

一種の“不条理怪談”なのであるが、その中心に据え置かれている不条理は怪異ではなく“人間の心理”であると言っていいと思う。 怪異体験を繰り返すことでストレスが溜まってある日突然恐怖感がぶち切れたという感じではないと思うし、押し入れの怪異が他の怪異…

【+3】苦い

最初に悪徳リフォームの手口を詳細に記すことで“実録風”を狙ってきたという印象で読み始めた。 またこのようなヤバいお仕事関係者の体験談は大ネタになる確率が高いということで、かなり期待して読んだ。 結論から言うと、「この話はまだ完結していないので…

【−1】祖父にまつわる話

怪異そのものについては、興味を惹く内容のもの(従兄弟の話は怪異としてはかなりのものだと思う)であると断言できるのであるが、一つの作品としてみた場合、全然それが活かされていないと言うしかない状況となっている。 身内の死後その死んだ者が現れると…

【0】きっかけ(2)

怪異そのものは非常に恐怖感をもたらすものであるという印象なのであるが、なぜかその内容に比して怖さを感じなかった。 そのように感じるのは、恐怖という“感情”に対して説明という“理性”が常にピッタリと張り付いているように見えるせいだと思う。 例えば“…

【−3】ドカドカガタガタ

誰もいないと思っている場所から物音が聞こえてくれば、恐怖を覚えることは誰にでもあることだと思う。 だが、それがいつでも超常的な怪異であると思っている人はおそらく殆どいないだろう。 結局、この作品に書かれている情報では、上に書いた範囲の印象で…

【−3】映画館にて

どうもおふざけが過ぎる内容である。 特に問題視したのが“楽屋落ち”ネタの多用である。 結局、『デビルマン』の実写版を見た人でなければ解らない内容で書かれているコンセプト自体が、読む者を限定するという“公開制”に対してのアンチテーゼのようなことを…

【−3】妹の話

主観的な解釈で強引にまとめてしまったという印象が強く、違和感が残ってしまった。 一番強く感じるのは、二人が目撃した“着物の女性”が同一人物だったかどうかの検証が全くないにもかかわらず、すぐにその正体を“母のすぐ下の女の子”と断定してしまっている…

【−1】突き飛ぶ

恐ろしくドタバタした調子が妙なリアリティーを生み出していることは確かである。 特に体験者カップルのハイテンションな会話を読んでいると、神社に怒鳴り込むように押し入ってくるという少々非常識なリアクションもありかなという気にもなる。 だが、肝心…

【+3】一線

神様が御利益を授けてくれるのは、仏様の慈悲の心のようなものではなく、身も蓋もない言い方をすると“見返り”を期待しているからである。 神と認めて祀ってくれる代わりに祀ってくれた人に対してご利益を与え、ますます丁重にそして末永く祀ってくれるように…

【0】舌

こういう奇怪な体験を見るのは初めてであり、なかなか凄い内容だと思うのであるが、文章が雑然と置かれているだけという印象があり、怪異の情報について不足しているという感じがする。 例えば、その墓地の宿泊施設(あまりイメージすることが出来ないが)と…

【−4】想い砂

最低限度の怪異はあるものの、タイトルを含めて作品全体に統一感がなく、かなり破綻した状態であると判断したので厳しい評点とさせていただいた。 おそらく推測するに、作者としては両親のなれそめの不思議な縁を書きたかったのだと思うのであるが、そこに白…

【+2】きっかけ

この作品も無駄に長いという印象。 怪異の内容についてはかなりインパクトもあり、体験内容から考えても、それなりの長さになることは納得がいく。 だが、起こった出来事一つ一つに対して描写・説明・体験者の動きと克明に書きすぎているために、読んでいる…

【+2】順番待ち

不条理性の高い“投げっぱなし怪談”である。 怪異そのものは、書き方を間違えると、本当に取るに足らないものになってしまいそうな感じなのだが、作者が非常に巧妙なリードをしており、なかなか味のある作品になっていると思う。 行列を作っている霊の描写で…

【−4】帰宅まで

まさにプチ“浦島太郎”現象が起こってしまったという怪異であるが、致命的な問題点がある。 まず、体験者達が直前まで酒を飲んでいたという事実が書かれている点。 どこまで酔っているかは不明であるが、この前提がある限り、信憑性は相当あやしいと思って読…

【0】親譲り

“見える”能力は元々生まれつきの素質であることの方が多いので、遺伝するものであるという見解である。 ただその確率から考えると、母親自身や母方の血を受け継ぐというケースが大半であり、父から息子へというパターンは珍しいのではないだろうか。 それ故…