【−3】妹の話

主観的な解釈で強引にまとめてしまったという印象が強く、違和感が残ってしまった。
一番強く感じるのは、二人が目撃した“着物の女性”が同一人物だったかどうかの検証が全くないにもかかわらず、すぐにその正体を“母のすぐ下の女の子”と断定してしまっているところである。
例えば、着物の柄であるとか、女性の顔つきであるとか、何か断片的なものでよいので一致するものがないと、にわかに信じがたいというのが本音である。
同じ“着物”でも振袖・留袖・経帷子では印象は全く違う。
さらにその断定的な結論はまさに論理の飛躍としか言いようがなく、特に“生後2ヶ月”で亡くなっているにもかかわらず、出てきたのが“着物の女性”とあるので、そこに何らかのステップとなるべき根拠が必要だろう。
結局のところ“初めに結論ありき”という印象だけが残ってしまった。
こういう肉親にまつわる“いい話”というのはどうしても善意の主観に陥りやすく、下手をすると独善的な解釈で周囲から反発を食らうこともあり得る。
そこまでいかなくとも、信憑性に関して疑念を生じさせる記述が目立つことはよくあるので、客観的な物証を備えている方が良いと思う。
この作品も、祖母の解釈が正しいとは思いたいのであるが、実話としてはどうしてもその部分の確証がない限り、厳しい姿勢で臨むということで…。