2010-01-01から1年間の記事一覧

来年の予測

まずは去年の予測の結果から… ◆怪談系は堅調→ いい意味ではずれた ◆予言系は確実に日常に浸透→ 大はずれ ◆「語り」はトレンドになれるかも→ なった! ◆妖怪とUMAは微妙→ ある意味正解 ◆都市伝説はゴシップと陰謀の渦→ これも正解 では来年の予測を… ◆怪談…

『女たちの怪談百物語』

女たちの怪談百物語 (幽BOOKS)作者: 加門七海、立原透耶、伊藤三巳華、岩井志麻子、宇佐美まこと、勝山海百合、神狛しず、宍戸レイ、長島槇子、三輪チサ、東雅夫編出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2010/11/17メディア: 単行本(ソフトカバー)…

『恐怖箱 探冥』第2巻・第3巻

ダウンロードはこちら→ http://bit.ly/c5OF42 ダウンロードはこちら→ http://bit.ly/gxcttF 竹の子書房で月1のペースで刊行され続けている作品であるが、1巻につき2箇所の心霊スポットを紹介しつつ、心霊スポットの本質について色々と語ってみようという…

『恐怖箱 怪想』

恐怖箱 怪想 (恐怖文庫)作者: 加藤 一出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/11/30メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (1件) を見る久しぶりに“厭系”怪談のオンパレードといった感じの作品である。お題に合わせて持ち寄った怪異譚が…

『怪談社 乙の章』

怪談社 乙(きのと)の章 (恐怖文庫)作者: 伊計 翼出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/11/30メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る前作は正直、周囲からあまり評判宜しからずという烙印を押されてしまった格好であったが、今作は…

『怪談実話 震』

震 フルエ (恐怖文庫)作者: 黒木 あるじ出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/10/29メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見る本題に入る前に、この作品の評価に直結する怪談史的な話から。 言葉の問題として「実話怪談」が正し…

『恐怖箱 探冥』

ダウンロードはこちら→http://bit.ly/9I1gx1 3冊目の紹介になるが、竹の子書房(無料で読める電子書籍)の作品である。 心霊スポットを扱う作品は数多いが、その中でも異色の作品である。スポット紹介となれば、当然情報の蘊蓄を語るわけであるが、この作品…

日本魔界伝説地図

日本魔界伝説地図 (Gakken Mook)作者: 東雅夫出版社/メーカー: 学研パブリッシング発売日: 2010/07/14メディア: ムック クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る「あやかしの世界にドップリと身を沈めた者は、最後にはその土地に足を運びたい衝動に…

『笑怖箱 マイ怖』

ダウンロードはこちら→http://bit.ly/aaBcjU厳密に言うと、この作品集は“実話怪談”の範疇に入らないとする意見も出てくるのではないかと思っている。タイトルにある通り、著者の「怖い」と感じた事柄を次々と並べていくという展開であり、全てが心霊的・超常…

『怪談実話コンテスト傑作選 黒四』

怪談実話コンテスト傑作選 (MF文庫ダ・ヴィンチ)作者: 『幽』編集部出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2010/04/21メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (5件) を見るこのブログでは1冊の本としてまとめられたものを評す…

『恐怖箱 死語』

ダウンロードはこちら→http://bit.ly/afLqTj 竹の子書房から出された実話怪談集であるが、一つのテーマに従って書かれている。かつての流行語をタイトルにして、そのタイトルに即した内容の怪異が綴られている。遊び心で作られたと言ってもおかしくないだろ…

『怪談社』

怪談社 実話怪談師の 恐怖譚 (竹書房文庫 HO 85)作者: 伊計翼出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/05/28メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る怪談社は、近年関西で頭角を現している、怪談語りの集団である。関西の怪談イベントで…

買った本2010.7〜8

やはりこの時期が書き入れ時、かなりの本が集まった。『九十九怪談 第三夜』★ 『厭ナ話 現代百物語』★ 『都市伝説 あなたに忍びよる恐怖』 『封印怪談 3』 『夢の中の少女 ひとり百物語』 『日本昔話ハンドブック』 『とおのあるき 『遠野物語』の旅ガイド…

『恐怖箱 怪路』

恐怖箱 怪路 (竹書房文庫)作者: 深澤夜出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/05/28メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る最終話の「キ印人形」をはじめ、良質の怪異譚が詰まっている作品である。怪異の中身も非常に興味を…

『「超」怖い話 怪福』

「超」怖い話 怪福 (竹書房文庫)作者: 久田樹生出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/04/20メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る90年代から始まる“実話怪談”の時代には、2つの怪談傾向がある。 一つは“あったること”を簡潔にま…

『「極」怖い話 甦怪』

「極」怖い話 甦怪(そかい) (竹書房文庫)作者: 加藤一出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/03/31メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る実話怪談コンテスト【超−1】には“リライト”というシステムがある。投稿された作品をインスパ…

『恐怖箱 怪痾』

恐怖箱 怪痾(かいあ) (竹書房文庫)作者: 雨宮淳司出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2010/02/27メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る相変わらずの筆力に裏打ちされた強烈な怪異譚が並ぶ。この重厚な文章の作りの中で形成さ…

買った本2010.6

結局書評を書く前に、蔵書リストの方を先に書くことになってしまった。自分の設定したハードルすら乗り越えられない状況に、かなり自己失望感がある。『江戸諸藩妖談奇譚手控え帖』 『聴耳草紙』 『最強の都市伝説 4』 『怖いこわい京都』 『京都古社寺辞典…

買った本2010.5

『霊道紀行』 『「超」怖い話ベストセレクション 2 腐肉』 『赤いヤッケの男 山の霊異記 MF文庫』 『ほんとうは怖い沖縄』 『「悪魔学」入門 「デビルマン」を解剖する』 『世界の幻獣エンサイクロペディア』 『江戸の怪奇譚』 『日本の妖怪の謎と不思議 …

買った本2010.1〜4

今年も【超−1】の講評も無事貫徹。あとは例年通り「著者別短評」をやって、最終推薦をするだけ。今年も苦言を呈することになると思うが、それはまた近日ということで。『U SPIRITS vol.01』 『怖い噂の真相』 『怖い噂 4』 『彩雨亭鬼談 杉村…

【−1】眠れぬ理由

“病院の怪談”としてまだ生きている人間の幽体離脱がメインとなる怪異譚は、かなり珍しいという印象である。 しかも入院している体験者に対して特別な災いをもたらしているわけでもなく、その点でも非常に希少な怪異であるという印象である。 おそらく怪異を…

【−2】蹴ったもの

前半で、体験者の認知した感覚についてしっかりと書いているにもかかわらず、最後でその感覚を根本からひっくり返すような表記をしている点で、大きな違和感を覚えた。 実際に体験者はそのあやかしと思しき存在に触れているわけで、それが最も説得力のある怪…

【−4】誰もいらない

書き手が訴えたいこと、書きたいことの全容は、おそらく誰が見ても明瞭に解るぐらい明瞭であるし、その熱意と筆力にはある種の感銘を受けると言ってもいい。 しかし、その主張が“怪異”ではないところに、この作品の致命的欠陥がある。 青年の孤独死から始ま…

【−3】どうでしょう

厳しい言い方になるが、書き手の目論見がことごとく裏目に出てしまったと言わざるを得ない。 怪異についてであるが、詳細を書けば書くほどあやかしがどのような状態であるのかが分からなくなってくる。 突き出た足を“シンクロナイズドスイミング”にたとえる…

【+5】鬼を見た

怪異が起こった当時の雰囲気が文章の中で再現されていると感じるところであり、民俗学的な情報もかなり詰まっているとも思うほどのしっかりとした内容である。 そして何といっても怪異そのものの凄惨さ、さらにはその描写の緊迫感といい、まさに一級品の怪談…

【+1】抜いてはいけない

昔の記憶なので完璧ではないが、福岡の旧犬鳴トンネルへ行く道すがら“幽霊がいる”という看板があり、そこでは霊体と思しき写真が撮れたという話を聞いた覚えがある。 面白半分に立てられたのかは分からないが、そのような雰囲気を持った場所で遊び半分でもそ…

【−1】警告か妨害か

怪異に携わったことをやっていると、怪異に出くわす確率は高くなる。 特に“怪談を書く”行為は、最もあやかしを刺激するのか、霊感がないという者でも何らかのトラブルに巻き込まれることが多いと聞く。 そして、過去の“実話怪談”の著作でも、書き手自身が執…

【+2】バンジージャンプ

“あったること”だけをしっかりと書き綴ることが出来れば、きちんとしたものに仕上げることが出来るというお手本のような作品である。 時系列を逆転させている部分はあるものの、おおむね顛末を順序よく書き、取りたてて奇抜な工夫もすることもなく書いている…

【+1】天国

非常に判断の難しい作品である。 努めて冷静に書いているものの、どうしても体験者の義母に対する恨み辛みというものが透けて見えてくる印象が強く、ある意味客観性に欠けるきらいがあるように受け止める部分がある。 しかしこの作品の場合、この偏った見方…

【−2】櫛

全体的な話の流れにおいて不自然な点がかなり見られたために、かなり身構えて読んでしまった。 経済的な理由で転院しながら個室に入院という最初の段階からつまずいてしまったし、またすぐに鎮静剤を打つ手際のよい看護師の登場(そのくせ妻の悲鳴にはほとん…