2008-04-29から1日間の記事一覧

【−1】怒風

神様と不条理という全く相容れないコンセプトによって怪異が成立しているために、読む者を困惑させるとしか言いようのない作品だと思う。 いわゆる“神様系”怪談の観点から見ると、倉本さんの行動は全く理解不能であり、何故唐突に社の扉を開けて神を冒涜する…

【+2】おみそれしました

何気ない日常の中で繰り広げられる怪異としては、なかなかいい味を出している内容だと思う。 特に怪異への入り口のさりげなさは、非常に好印象である。 最初はもしかすると体験者の思い込みではないかと思わせるような不思議(単なる偶然ではないかと感じる…

【+4】塩壁

原因と結果だけは明瞭なのであるが、何故そのような装置が必要となったのか、何故その装置でないといけないのかという部分がスッポリ抜け落ちているために、良い意味でモヤモヤとした怪しさが全開となっている。 そして何気ない生活から一変して禍々しい状況…

【+2】白煙

単にオーラが見える能力を身につけた話かと思わせておいて、一気にオチに持ち込んでいく展開はなかなか面白い。 小ネタの“お笑い系”怪談としては良い出来だと思う。 しかもオチの面白さだけで勝負しているのではなく、文章自体も非常に簡潔で読みやすいとい…

【0】1cm?

“隙間”の怪であるが、どちらかというと定番の怪異の一つであり、新奇さの点では弱さを感じるところである。 話者(あるいは作者)としては、隙間の怪異が全く異なる場所で起こっていることに不思議を感じているが、その怪異そのものの頻度がある程度高いため…

【+1】訪問者

多くの指摘がある通り、建物に関する説明が非常に分かりにくく、かなり混乱した(地図に書いてみても、すぐには判らなかったほどだ)。 かといって“一軒おきに死者が出る”という法則性に関する怪異はそれほどインパクトがなく、むしろ怪異のおいしいところは…

【+3】少女時代

何ら劇的な盛り上がりもなく、ただ淡々と霊体の目撃の記録が書かれているだけのであるが、すごく魅力的な作品に仕上がっているという印象である。 ほとんど説明的な文がなく、描写を中心として展開されているために、非常に詩的な雰囲気が強いためであろうか…

【−1】使われないコップ

怪異であるための必要条件は揃ったが、十分条件を提示できなかったという典型的な作品。 夜中に突然動き出すピエロの人形は、やはり目撃した者に恐怖感を与えるだけの強烈な存在であることは確かである。 少々位置関係がわかりづらいという問題はあるものの…