【−1】ズーイズーイ

体験者自身が、そのあやかしについて明確に目撃できていないという印象が強く残った。
水中のUMAの目撃という場合、水面に出てきたコブとかの目撃でないと信憑性は低くなると思うし、体長2メートル程度の影だけではUMAとして特筆できるようなレベルではないだろう。
というよりも、その書かれている記述内容から推測すると、アシカやアザラシが川を遡上してきた姿を見たのではないかという疑念の方が強くなる。
結局のところ、そのあやかしについての必要最小限の具体的な様子が書けておらず、それが真実であったとしても、この記述内容では到底読み手にまで情報は伝わらず、“記録”としても根拠薄弱というように一蹴されてしまう内容であると思う。
目撃譚であれば、その目撃したあやかしがどのような容姿であったか、どのような動きを見せていたかを克明に書かなければ、話にならない部分があるということである。
作品の書き方が悪いというよりも、扱ったネタそのものが公開できるレベルのものではなかったというのが、正直な感想である。