2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【+2】我が家

怪異の内容から見ると、憑依現象というよりはむしろ“残留思念”と波長が合ってしまって、心的追体験をしてしまったと見た方が良いようである。 憑依されてしまえば、その間は全く本人の人格(意識)がなくなってしまうために自分の言動に関する記憶が残らない…

【0】直線道路

ある意味“引き算の怪談”の極限にまで挑戦したような作品である。 ただし全体的には、それが上手く作用しなかったという印象が残った。 一番気になったのは、体験者とタクシーとの距離が明確ではなかったこと。 移動するものの怪異の場合、どうしても速さ・時…

【−2】ばつが悪い?

やはり“記録”としての実話怪談という観点から見ると、相当手抜きという印象である。 “病院の待合室”という設定であるが、病院の規模によっても大きさが明らかに違うし、それによって場所の雰囲気が全く変わってしまうと言える。 さらに時間帯によっても人の…

【0】川沿いの道路

結論から言うと、評価すべき部分もほとんどないが、不可とする部分もないので、基準の点数ということにさせていただいた。 体験した怪異の内容であるが、“よくある話”というレベルにとどまるものであるだろう。 二人の目撃者が見た怪異の内容が、対照的なも…

【0】流れ星

ペガサス(本当は角の生えたものはないとされるが)の目撃談は非常に希少と言わざるを得ない。 ある意味信憑性において非常に際どい目撃談となるのであるが、ディテールの部分の描写などに具体性があるという判断をして、実話として実際に“あったること”と認…

【−4】デジカメ

読んだ瞬間に思い出したのが“シミュラクラ現象”。 いわゆる“点が3つあると顔に見える”という、心霊写真の真贋の判定にも出てくる“錯覚”現象である。 各社のデジタルカメラの“顔認識機能”の原理を確認すると、やはり目鼻口の3つのパーツで顔を認識すること…

【−2】歩道の上に

この作品も“気付き”のタイミングを逸しており、どうもあざとさを覚えてしまった。 もし体験者が“見える”人であるならば(怪異に対する受け止め方が冷静すぎるので、可能性は高い)、気付くのが相当遅いのではないかと思うし、普段見えないのであれば、資材を…

【−1】山

体験談としてはそこそこ面白いと思う内容なのであるが、最後に語られる体験者の解釈を出してしまったために、作品として非常に稚拙な印象を持ってしまった。 神仏分離が断行されたのは明治に入ってからのことであり、それまでは神道と仏教とが渾然一体となっ…

【+1】ピンクゴールドでハート型の

二度の怪異が書かれているが、後半の方が明確な怪異であるとみなせるように順を追ってしっかりと書かれてあるために、不可解な現象であるものの説得力を持っていると感じる。 “佐藤”のシールのついた箱を取りだして見たら中身がない、店のスタッフを呼ぶ、呼…

【−3】しつこい

体験者があやかしの存在を認識する瞬間は、まさに怪談のクライマックスと言っても間違いないところであり、この部分の出来如何で評価が大きく変わるケースすらあるほどである。 この作品は、それほど重要な“気付き”の部分で大きな失策を犯してしまっている。…

【−2】手摺りの上に

体験者は生首が落ちたという解釈の上で語っているのだと推測するのだが、結局書き手がそれを追認する形で書いてしまっていて、それを決定付けるための確証を出すことを怠ってしまっているという判断である。 まずこのあやかしが“生首”であるかというところか…

【0】正座している男

“です・ます調”で書かれていることと、濃密な説明調のために、何だか“怪談語り”の原稿を読んでいるような印象が残った。 おそらく声に出して読んでみたら、文章に書かれている状態よりももっと迫力のあるものに感じるのではないかとも思う。 怪異についても…

【−5】くさい

実話怪談は“あったること”の記録という側面が非常に顕著な作品であると定義付けすることが出来る。 ところがこの作品の場合、その“あったること”の記録という部分で完全に逸脱した内容があるという判断が出来るために、大きく減点せざるを得ないことになった…

【0】寝言

幼い子供が通常は見えないであろうものに反応する様子を見て、大人が恐怖するというパターンの典型例である。 この作品の一番きついところは、子供一人だけではなく二人が同時に声を発しているところに尽きる。 書き手自身もこの部分が怪異の肝であることを…

【−1】俯いている?

残念ながら、タイトルを見ただけで“首なしの霊体”だろうという予測を付けてしまった。 果たしてその通りの展開だったために、この段階でマイナス評価を決めてしまった次第である。 書き手としては煙幕を張って核心を衝くという感覚でタイトルにしたのかもし…

【−2】歩き続ける人

“ありきたり”としか言いようのない、全く引っ掛かるところのない定番の怪談話である。 書き手はその問題点を解消するべく、例えば具体的な地名やコースを挿入させることでリアリティーを確保しようと試みたり(もう少し現場が特定できそうな微妙なポイント名…

【−3】編み目ごしに

些細な怪異をこれでもかと引き延ばした結果、完全に展開のバランスを失った状態になってしまっている。 怪異は、要するに、ネット越しに見たらあやかしが見えるというものであり、鏡とかレンズ越しだけ見えるあやかしと同じパターンの話である。 それ故にそ…

【−2】聖域

読んでいて、かなりの情報不足感を覚えた。 沖縄、しかも離島における“神霊”を扱う場合、どうしても書き手は必要によってはある程度の予備知識を持って再構成に臨まないと、完全な舌足らずな表記で終わってしまう危険性があると言えるだろう。 偏見ではない…

【+4】天から地へ 地から天へ

いわゆる“神霊系”の奇談であるが、ディテールの面で評価できる部分が多々あるため、高く評価させていただいた。 まず言葉が非常に具体的であり、体験者自身の感触というものが理解しやすかった。 正直なことを言えば、そこに書かれている体験者の感触をイメ…

【−1】妖怪?UMA?

まずタイトルで大きく損をしていると言える。 タイトルを読めばどういうタイプの怪異が登場するのかあらかじめ読み手に種明かしをしているようなものであり、そうやって読み手が身構えているところへ“ムカデ”と来ても、それがたとえ“人面ムカデ”であっても、…

【0】つながり

祖母にまつわる不思議な体験が語られているのだが、どれもよく聞く小さなトピックという印象であり、目を惹く話がなかったと言えるだろう。 あまり大した話ではないという印象を持ってしまったのは、冒頭に置かれた占い師の言葉に負うところがやはり大きい。…

【−2】川面を

全ての点において平凡すぎるために、評価はかなりマイナスとさせていただいた。 あやかしの目撃談ということであるが、発光体というのであればやはりインパクトは弱いと思うし、大きさが“畳半分”であっても希少性の面ではあまり変わり映えがしないレベルであ…

【+2】覗く

連続的に起こる怪異としてはなかなか気味悪い内容のものであると思うし、書き手もその薄気味悪さと禍々しさを提示することを目的としてストーリーを展開しているのがよく解る。 あやかしそのものが、赤い振袖に“市松人形がゲラゲラと笑った”ような直球ど真ん…

【−3】そんなところで何を

言葉の取捨選択によって状況の印象が一変してしまうことがあるが、この作品はまさにこの部分でのミスが命取りとなってしまっている。 最も致命的なのが、最後の行にある“そのまま姿を消してしまった”という文言である。 この言葉は、あやかしの消え方という…

【+1】開けてくれ

非常に珍妙な怪異であり、妖怪と思しきあやかしの目撃談としての希少性は評価できると思う。 だがその肝であるべきあやかしの容姿に関する描写があまりにもお粗末なために、分かったような分からないような恐ろしく中途半端な印象なのである。 怪異体験の中…

【0】テレビ画面の片隅に

テレビ画面に人の顔がアップで写っているという心霊写真が時々ある。 これもそのような状況下での目撃談になるのだろうかと思いながら読んだ。 この作品におけるポイントは、何と言っても“暴れん坊将軍”という表記であるだろう。 あやかしの描写において特定…

【−1】留守番

ネタとしても小粒でありきたり、体験者としては非常に怖くて不思議な怪異であるのかもしれないが、読み手からすればまさしく“あったること”だけがちょこんと置かれただけの内容である。 この2つの怪異は、体験者が留守番中に起こった怪異という共通点を持っ…

【−1】聞こえてるじゃん

この作品における最大の問題点は、自転車ですれ違うという設定と、書かれている言葉から読みとれる距離や時間経過に明らかに齟齬が生じていると判断せざるを得ないことである。 正直に言うと、初読の際に体験者は徒歩であり、対するあやかしも自転車を押して…

【−1】そこには無い

怪異そのものは非常に小粒でありきたりなレベルのものであり、これ自体は可もなく不可もなくというところで落ち着く。 ところが、言わずもがなの情報を最後に書いてしまったために、マイナス評価とさせていただいた。 上流の身投げと自転車に乗るあやかしと…

【0】耳たぶ

体験者自身に物理的な危害が加えられるという怪異の場合、やはり効果的な書き方は、その体験者自身の痛みや恐怖の感情をむき出しにすることであると思う。 この作品の場合、耳たぶが傷つけられて大量出血、そして最終的に千切り取られるという、相当な痛みを…