【0】テレビ画面の片隅に

テレビ画面に人の顔がアップで写っているという心霊写真が時々ある。
これもそのような状況下での目撃談になるのだろうかと思いながら読んだ。
この作品におけるポイントは、何と言っても“暴れん坊将軍”という表記であるだろう。
あやかしの描写において特定のキャラクターを示す言葉を使用することは、大減点の反則として個人的評価ルールに厳然としてある。
本来ならこのケースは減点の対象とすることになるのだが、顔の作りにだけ限定して使用している点、そして“似ている”という程度で留めている点を考慮すると、許容範囲という意見である(これが全身の風貌を表す語で“暴れん坊将軍みたい”とくれば間違いなくNGとなるだろう。全身のイメージを特定キャラで表現すると、全く同一の姿でしか想像できなくなって、実際の目撃した姿とかけ離れる危険性があるが、顔だけならばまだ救いがあると言える)。
むしろあやかしの行動から考えれば考えるほど、“暴れん坊将軍”という言葉とのギャップが明確となり、キャラクターの持つイメージが笑いへと還元されていったように思う。
しかしながら、テレビ画面に映ったあやかしの様子や行動の一部が言葉足らずであり、どういう大きさのものが映っていたのかがよく解らないし、特に肝である“ぺこりとお辞儀をした”場面の様子については不明朗としか言いようがない。
お辞儀の部分はかなり希少な現象であるようにも感じるので、そのあたりの詳細が分かれば、もっと評価が上がる可能性もあったのではないだろうか。
トータルで見れば、可もなく不可もなくという評価で落ち着いてしまったところである。