【−2】川面を

全ての点において平凡すぎるために、評価はかなりマイナスとさせていただいた。
あやかしの目撃談ということであるが、発光体というのであればやはりインパクトは弱いと思うし、大きさが“畳半分”であっても希少性の面ではあまり変わり映えがしないレベルである。
また盲目の犬が最初に気付くというのも一見珍しそうであるが、犬などの動物の場合、視覚よりも聴覚や嗅覚で認知しているというのが基本的な考えにあるので、これもある意味的を外しているという意見である。
極論すると、書き手がリアルなディテールとして表記しているだろうと思われる内容が、怪談をかなり読みこなしている人間からすると、取りたてて凄いと唸るようなものではないのである。
さらに言えば、そのようなレベルの内容を簡潔な文体で書いてしまえば、もはや“記録”としての価値しかないために、ほぼ軽くスルーという感じでしか読めないわけである。
この大会の場合、このあたりのレベルの怪異ではいくら技巧を凝らしても評価されないと思うし、厳しい言い方をすれば、この場では公開するべき怪異の内容ではないという見解である。
怪異として認知できれば何でも書いて投稿すればよいという考え方では、残念ながらこの大会は乗りきれないということである。