【0】つながり

祖母にまつわる不思議な体験が語られているのだが、どれもよく聞く小さなトピックという印象であり、目を惹く話がなかったと言えるだろう。
あまり大した話ではないという印象を持ってしまったのは、冒頭に置かれた占い師の言葉に負うところがやはり大きい。
これによって相当強烈な縁があるのだろうという気分にさせられたところが、結局目新しいエピソードもなく終わってしまったために、肩すかしを食らったように感じてしまった。
また起こった3つのエピソードが、祖母の死の直前、四十九日、それから4年後と、集中的に起こったわけでもないというところにも、縁の強さを感じることが出来なかった。
こういう細かなトピックで縁の強さを感じさせようと思うと、かなりの数の事例を挙げていかなければならないだろうし、またもっと頻度の高い状況がないと読み手を納得させることは難しいだろう。
おそらく書き手とすれば、最初の占い師の言葉で強力な縁というものを演出しようとしたのだが、結局起こっている出来事そのものがそれぞれ小粒でありすぎるために、前振りの方が仰々しくなってしまったように感じる。
“祖母との縁”というレベルで展開させるよりも、最後のエピソードをメインの怪異に据えて、体験者と祖母との心的交流を明確に主張させた方が、“すごくいい話”としてもっと読ませる内容になっていたような気がする。
いずれにせよ、可もなく不可もなくという次元の作品となると思う。