2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『陣』

怪異そのものについては、そこそこの希少性と内容を備えていると思う。一見“東京伝説”的な印象もあるが、神社周辺にあった黒い煙の存在や、一時的に周囲の景色が見えなくなった異界感を考えると、やはり超常的な何かが生じていたとみなすべきだろう。そして…

『ドライブなう』

結論から言ってしまうと、この作品はネタそのものが都市伝説に酷似しているために、リアリティーをどのように維持させるかが一番のカギだったにもかかわらず、むしろ作品の構成そのものまでが都市伝説のパターンを踏襲した格好になってしまい、非常に陳腐な…

『帰郷の夜』

全く違う場所にもかかわらずほぼ同一の怪異に遭遇体験したという、かなり希少な内容である。またその遭遇したあやかしも、蛇のようではあるものの、かなり得体の知れないものであると言える。 やはり何と言っても一番の怪異は、ほとんど同時に新潟と東京で夫…

『鏡』

何か“超訳本”を読まされたという印象しか残らなかった。特にこれだけの長さにもかかわらず、2組の夫婦に怪事の元凶と解決役の計6名が登場。しかもジェットコースタードラマよろしく、次々と各登場人物に怪しい出来事が起こっていくために、内容を追い掛け…

『黒い箱』

実話怪談を書くための文体として最も扱いにくいのが“一人語り”と何度も指摘している。到底信じられない事実の連続を描写する場合、一人語りの主観目線はどうしても胡散臭さを伴うことが多いためである。場合によっては、体験者自身の手記であっても、一人称…

『舌』

不快感を伴う不気味さが強調された作品である。特にあやかしである女の口周辺の様子や動きを克明に描写することで、怪異の度合いを増すことに成功していると言えるだろう。あやかしの姿に関する表記についてはかなり手慣れた書き方であり、時系列的に体験者…

今年のマイ・レギュレーション

今年で6回目となる【超−1】の季節である。 昨年は最信任講評者賞というものをいただき恐縮至極の体であったが、主催者からの総評アナウンスを待っている内に、結局個人的なコメントを今まで出さずに来てしまった次第である。だが、この大会に入る前にはっ…