『未確認動物の真実』
- 作者: 田中雅司
- 出版社/メーカー: 小学館スクウェア
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 単行本
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わずか96ページ、しかもかなり大きなポイントの文字である。取り扱うUMA4種(ネッシー・イエティ・モケーレムベンベ・チャイニーズネッシー)と序論と言うべきUMA論があるだけである。カタログ主義的に膨大な種類を紹介しまくるのが主流のUMA本としては、突出した少なさだ。もしかすると、それだけで手にした本を棚に戻してしまいそうな雰囲気がある。
だが著者の態度は非常に真摯である。著者は超常現象研究家の肩書きを持ち、科学系バラエティ番組に情報提供していると自称している(具体名が分からないので、あくまで“自称”である)。実際に内容を読んでいると、かなりUMAには精通しているように見える。著者の目的は「従来のUMA本は、最新科学の見地から語られていない」から、そういう内容に照らし合わせて検証してみたいということらしい。例えばCGを駆使することで、巨大な首長竜が首を垂直に立てて尾をダラリと下げていることは骨格的に無理だということが「定説」になっている。これによって、かつて本物として大々的に喧伝されたネッシーの写真は“あり得ない捏造”として厳しく糾弾している。このような指摘は、よく考えると、今までのUMA本ではまず見ることがなかったことは確かである。単純に未確認生物を並べるだけではなく、むしろ“科学”のメスで徹底的に検証してやろうという意気込みに溢れている。科学的検証によって真偽を明らかにしようとする著者の態度は、UMAのような不確かな存在について考察する上では非常に正しいやり方であるだろう。その点では著者に対して大いに賛同したいし、こういう方面からの考究書というのもこのジャンルにあっても良いと思う。
ただしながら、このページ数の少なさはどうしても厳しい。せめて倍ほどのページ数で、他の著名なUMAについても言及していただきたかった。特に映像関連の真偽については一言ありというように推察するので、例えばビッグフットあたりの映像についてのコメントが読みたいと思った。また機会があれば高説を伺いたいというところである。