『日本列島のヤバい話』

その土地の人が口を閉ざす日本列島のヤバイ話

その土地の人が口を閉ざす日本列島のヤバイ話

曰く付きの伝承地(心霊スポットも含む)についての情報を紹介する本は、年に何冊かは出版されている。ただ正直なところ、どの本もよく出来ているかと言われると、なかなかそうはいかない。詳細が杜撰とかいうことではない(たまに地図などが誤植で役に立っていないとかいう問題はよく見受けられるが)。物件のセレクトに対する不満がほぼ大半を占めるのが現状なのである。
過去からの累積で言えば相当数の物件が紹介されている。おそらく数百単位の数に上ることは間違いないだろう。それ故に、こういう本の場合「定番」と呼ばれるような、必ずと言っていいほど登場する場所が存在する。極端な場合、ほぼ同じ頃に出版され、同時購入した2冊の半分ぐらいの物件がだぶっていたというケースもある。この「定番」クラスの物件ばかりで編まれた本は、言うまでもなく、つまらない。有名どころは本当の初心者には優しいが、その種の本に興味を持っていくつか買い漁っていく内に飽きてしまう。
この手の本で良書と言われる本の基準は、「定番」にまざってどれだけレアな物件が登場してくるかにある。一口に言っても「レア」にも段階がある。「定番」物件に関する新たな情報を提供出来れば、それも「レア」である(心霊スポット紹介の本では、新たな体験証言を出すことで劣化を防いでいるものも多い)。また出版物では初出であるとか、または滅多とお目に掛かれない物件の紹介も「レア」である。このあたりのものをどれだけ揃えてくるかによって価値が決まるという意見である。
今回取り上げる本は、この種の本の中では良心的な部類に入るものであると言えるだろう。紹介されている物件は約40件。「超定番」とも言える事件や伝説から、相当なレアものまで入っている。とりわけ個人的には、全く情報の破片すら知らなかった物件が2件もあったことが驚きであった。この手のこのレベルの本で全く未知の物件にぶつかるのは数年に一度程度の認識、しかも1冊に2件というのは近年では全く記憶にないことである。正直この事実だけで、個人的には十分価値の高い本という認識である。具体的な場所を記した地図はないが、写真などの資料も豊富でそれなりに楽しめるのではないかと思う。
(ちなみに、姉妹サイト【日本伝承大鑑】から写真2枚を提供しております)