2007-05-20から1日間の記事一覧

【+1】高笑い

どう読んでも、大ネタのイントロダクションという印象から抜け出せなかった。 一方では、非常に禍々しくまた読者の目を引くような怪異であることは間違いない。 だが他方では、怪異として完結していない、むしろこれから先にもっと凄い内容が広がるのではな…

【+3】少女のいる風景

江戸川乱歩の『押し絵と旅する男』をふと思い出した。 ノスタルジックな雰囲気といい、絵の中の少女と体験者の関係といい、何かしらの共通点を感じざるを得ない。 当然“実話怪談”であるからこの傑作幻想譚をモチーフした訳ではないのは解っているのだが、ど…

【−2】幻の…

前半部分を読んでいて、体験者と同じくどんどんと不安になっていった。 体験者はお得意様の家に辿り着けず、私は出口のない堂々巡りで怪異の肝を見失って。 結局長々と話が続いて、最後の最後になって“血の色をした池”そのものが怪異の肝であったことに気付…

【−1】やるせない

一番肝心な怪異に関する情報に不足を感じる。 まず「顔だけの中年オヤジ」のイメージが非常にしづらい。 中吊り広告の脇から覗いているのは書いているが、顔だけという言葉が今ひとつピンとこない。 宙を浮いているのか、壁や窓にへばりついているのか、ある…

【0】言えない事情

どうも雰囲気先行の作品という印象である。 恐怖感を煽る作品としてはなかなかの出来であると思うし、体験者の恐怖感や嫌悪感という負の感情が色々な場面から汲み取れる。 それだけ濃厚な印象を与えるほどヘヴィーな文章であることは間違いない。 ところが、…

【+1】悪戯

まさに怪異が予定調和的に行われたかのように感じてしまいそうになるほどの王道パターンである。 墓地の近道、付いてくる足音、追いかけてくるものへの恐怖、そして家にたどり着いた安堵感を瞬時に打ち消すあやかしの正体、どれを取っても王道以外の何もので…

【+1】いる

「怪を語れば怪が起こる」という格言をしっかりと踏襲した体験談である。 ただ格言にすっぱりと当てはまるような事実は、あまりにも出来過ぎて却って面白味がないというのも真実であるだろう。 この作品も最初は少々もたつき気味であったが、噂をばらまかれ…

【+3】渋滞

内容から推測すると“異界”へ偶然は入り込んでしまいそうになったようなシチュエーションのように思う。 怪異がさりげなく始まり、そしてふとしたきっかけで終わってしまうという流れも、異界ならではの雰囲気を醸し出している。 さらに付け加えると、もう少…

【+2】墓参

非常に珍しい体験であり、いわゆる“見える人”という条件はあるものの、それでも希少性の高い内容であると言えるだろう。 特に何百という白装束が追いかけて来るという話は聞いたことがない。 また最初に目撃した大男も不可解さではなかなかのものである。 だ…

【+3】布団

多くの指摘がある“布団を抱え持った時の視線”の問題であるが、かなり大きな布団を持った小柄な人物であれば、可能なシチュエーションである。 布団を押入に出し入れする場合はそれほど高く持ち上げることはないが、移動させようとする時だけは胸より上に持ち…

【0】音、大きすぎ

冒頭から言わずもがなの文章を挿入して、体験した内容があまり強烈なものではないという先入観が植えつけられてしまった。 体験者の言葉だけだったらまだ余地はあったのだが、その後の解説めいた記述は不要であろう。 結局、怪異自体も音だけのものであり、…

【0】取材

「竜頭蛇尾」ということわざを思い出してしまった。 冒頭部分の雰囲気はどっしりとしており、いかにも何か凄い体験談が読めるものだという期待感をもたらしてくれる内容であった。 取材を受けた人物の話す“心霊談義”も非常に中身が濃く、参考になる事柄がか…

【−3】たたいちゃった

この作品は雰囲気の相似性どころか、ネタが前日のものと完全にかぶってしまっている。 さすがにこれでは希少性の評も上げる訳にもいかず、かなり低い評価となってしまった。 結局作者は、この一連の作品に対してどのような意図を持って臨んだのだろうか。 こ…

【−3】殿様蛙

一見自然な流れのようにも感じるのであるが、きれいに整いすぎて却って手が加えられた話のように受け取ってしまったところがある。 まず、多くの指摘があるように、並んでいた蛙のうちの一匹が石をぶつけられたら、間違いなく他の蛙は隠れるようにその場を逃…

【−2】シャドーボクシング

体験者の名前から最近おなじみになっている一連の作品に属するものだと推断するが、相変わらずという印象である。 一言で断じてしまえば、全然怖くない。 怪異が描かれているのは間違いないのだが、怪談話というカテゴリーからは大きく逸脱していると言える…