『巨大未確認 びっくり生物』

巨大未確認びっくり生物 (コアムックシリーズ)

巨大未確認びっくり生物 (コアムックシリーズ)

良くも悪くも、昭和時代の少年誌上で展開されていた特集記事のテイスト。面白いと言えば面白いし、馬鹿馬鹿しいと言えば馬鹿馬鹿しいレベルの内容である。胡散臭さ、いかがわしさという言葉がしっくりくる怪作だ(これは褒め言葉だ)。


メインとなるのは“奇獣”。決してUMAではない。とにかくデカいというだけで希少価値があるとか、奇形種であるとか、日本では滅多にお目にかかれないとか、そういう種類の動物の写真を満載している。さらに肉食獣に襲われた人間のショッキングな写真や、明らかな合成写真で作り出されたUMAの写真で煽ってみたりする。そこに突如として本物のUMAに関する記事が入ってきたり、「珍獣を食す」といったゲテモノ記事が登場する。まさにノリと勢いだけで作ってしまった言ってもおかしくない、扇情的な内容である。最初からB級を目指し、その路線で最後まで突っ走った感がある。


真面目な姿勢で読むと、正直、馬鹿を見る。話半分(もしかすると1割程度かもしれない)で読んだ方が正解だろう。「騙しやがって」と怒るよりは「ネタだよな」とニヤニヤしながら読んだ方が健全である。そういうレベルの本であるし、それ以上を求める必要もない。ある意味、煽るだけ煽って落胆させる“実録怪談雑誌”よりも正々堂々とバカをやっていると言えるだろう。“おバカ本”の中では良くできた方だと思う。


ただし、この本は読者を選ぶ。読む人が読めば、懐かしさのあまりに感涙物になるかもしれない。しかし読みようによっては、おちょくられたと感じる読者も出るだろう。「見世物小屋」に興味やノスタルジーを覚える人は買って読むことを勧める。ゆめゆめUMA本と思って買わないように。