【+3】自粛

際どいシチュエーションであり、またなかなか笑わせてくれる内容でもある。
現れた霊体はまさに妖怪チックな“声の否哉”という感がする(あの妖怪は後ろ姿が女性で顔が老人という、容姿がギャップの奴であるが)。
体験した本人はさぞかし身の縮む思いであっただろうが、読んでいる側からすれば滑稽であり、同時に何となく笑うに笑えない雰囲気が漂ってくる。
短い作品でありながら読者をハッとさせるどんでん返しもあり、非常によくまとまった作品であると思う。
作品としての完成度は高いと言うべきだろう。
ただし内容が内容だけに万人受けする作品ではないと思うし、特に女性の支持は受けにくい作品である。
でも、面白いことには変わりないし、客観的にそれなりに評価できる作品であるとは思う。
それにしても気になるのは、隣室の二人。
あやかしの声に反応していたところを見ると、彼らも自分たちの声が隣室にまで筒抜けであるのを知りながら…まあ、要らない妄想はやめておこう。