『魔よけ百科』
- 作者: 岡田保造
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 2007/07/12
- メディア: 単行本
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また日本のみならず、海外にも魔よけのシンボルのルーツを求めており、それが日本に伝播された時にどのように変化したかを知るのも非常に有意なことであった。魔よけということでどうしても陰陽道や風水関連のものが取り上げられることが多く、また著者の専門である城郭における魔よけの刻印が比率的に大きくなっているが、それでも実地に足を運んで確認して撮られた写真が興味を引き出してくれる。まさかこんなところに魔よけがあるのか、と感じ入ることが多かった。理論的な呪術だけではなく、ここまで明瞭に実地例が示され、これを公に公開しているところがいたく気に入った次第である。
全体の体裁であるが、1アイテムに関して2ページ見開きで、カラー写真とシンプル且つ説得力のある説明がある。それにもまして素晴らしいのは、ランダムにアイテムが紹介されているのではなく、アイテムのカテゴリーが非常に有機的に並べられている点である。これによって独立しているはずの魔よけのアイテム・シンボルが形を変えて人々の生活の中に浸透している様がよく理解できるわけである。単純に魔よけという実務的な部分だけはなく、意匠・工芸品としてビジュアル的にも面白いところがあると思う。