『携帯都市伝説』

携帯都市伝説

携帯都市伝説

タイトルこそ違えども、『関暁夫の都市伝説』の続編と言いきって良い作品である。本の作りから言っても、またトピックの選定から構成まで見ても、おそらくこのヒット作を意識して作られたものである(出版元が同じ竹書房だから、パクリとは言えないところである)。ただやはり“二番煎じ”というレベルを脱し切れていない、むしろタイトル的にもかなり無理しているという印象である。

タイトルに“携帯”という名前が冠されているが、実際に携帯電話に関係するのは、最初のトピックである“怪人アンサー”だけである。それ以外の内容については別に携帯電話でなければならないというものでもなく、各トピックの最後の決めゼリフのために取って付けたという感が強い。おそらく都市伝説の匿名性を強調するために携帯メールによる流布をイメージしたものだと思うのであるが、とにかく大きくすべってしまっている。それなりに頑張って工夫しているのであるが、内容的に携帯メールで流布しそうな話ではないのである。「看板に偽りあり」とまでは言わないが、これが一番イタイところである。

ネタについても、正直なところ、ほとんどが既出のものであり、取りたてて目を引くようなものがなかった。また説明自体もネット上で解説されている域を超え出るものがない。要するに定価に見合うだけのものがない、厳しく言えば「買って損したぞ」と憤る人が多数存在するのではというレベルである。まあ、ヒット作の続編には“二匹目のドジョウはいない”という定説通りの展開だったわけである。