【0】やぶへび

小ネタの作品としてはまずまずまとまった印象が強く、すんなりと読めた。
特に小気味よいのは、お札を発見してしまった時のシチュエーションであり、今までありそうでなかった展開であったので新鮮さを感じた。
ただ惜しむらくは、お札を破ってしまったのが原因で熱帯魚が全滅したのかどうかの確証となる記述がなかった点。
ゴチャゴチャと位置関係とか書いてしまうと作品本来のテンポの良さがなくなってしまうので、例えば、“長期間飼っていたもの”であるとか“設備に異常がなかったのに(あるいは突発的な異常が起こったために)”という一言が添えられていれば、読み手の側からすればスムーズにお札と熱帯魚の死が結びつけられたのではないかと思う。
さりげないが思わせぶりな一言が“引っ掛かり”を生み出すわけであり、その部分に話の真実性を示すディテールを感じ取ることが出来るのである。
小ネタということもあり、全体的には可もなく不可もなくというところの評価にとどめさせていただいた。