作品全体の展開を見ると、非常に微妙なバランスで成り立っている怪異譚であると思う。まず、茶飲み友達を襲うという霊の目的が判然としない。息子夫婦にいびられて自殺したという原因が書かれており、本来はその怨みの矛先をそちらに向けるはずなのであるが…
冒頭から男のいけ好かない様子をこれでもかと書くことによって、赤ん坊の霊体と男との接点を誘導させようという意識が働いている。つまり、赤ん坊の霊体が“水子”であり、この不躾な男が父親であるかのような展開を、読み手に想起させる書きぶりである。赤ん…
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