【−5】白い顔

前回の大会でも明言していたのだが、いやしくも文章によって新しいものを創出しようと試みる者が、他のクリエーターの生み出したものを使って表現しようとすることはアンフェアである。
特に“実話怪談”を書くのだから、他の人の創作物を想起させるような記述を怪異そのものに用いることは、作者自身で価値を貶めるようなものである。
(“あったること”として出現した怪異を、既存の創作物でしか表現できない、あるいはパロディでしか表現できないならば、このような公の場に公開すべきではないと思う。そのようなレベルのものは、別のしかるべき場で発表していただきたい)
せっかく最初の方ではそれなりに怪異を表現しようと書いているのに、最後の誘導尋問に似た書きぶりで、全てが映画のキャラの模倣にしか見えなくなってしまった。
認知度の高い有名キャラを比喩として用いたともとれるが、結局有名すぎるもので喩えたために、そちらの印象の方が主体となってしまった感も否めないだろう。
今回最低評点にしなかったのは、作者自身が有名キャラであやかしの全てを表現している訳ではないと受け取ったためである。
ちなみにネタとしての怪異であるが、ありきたりで平凡というところで落ち着くだろう。