【+2】怪談

作者の説明にミスリードがあったために、不満が残ってしまった。
多分作者としては、<声が聞こえる→いつも窓の下で中学生が喋るからそこにいるのだろう→気になって見ると人影がない→よく聞くと収納庫からの声だった>という展開をしたかったのだと推察する。
ところが、オチを隠したいために「開け放された窓から中学生の話し声が聞こえてきた」と断定的な書き方を冒頭にしたために、読者が正しい情報として認識してしまったのである。
結局これがこの作品の致命的なミスとなり、評価を格段に落とされたとみている。
文章の構成次第では、読者に誤解を招くことなく、体験者が窓の下に誰かがいて喋っていると思い込んで聞いているシチュエーションを作ることができると思う。
怪異の内容としては非常に興味のある話である。
あやかし自体が怪異について語るという話は滅多にお目にかかれない内容であり、それだけで十分とんでもない怪異である。
ましてや自分の家に関する怪異をあやかしが語っていると思うと、まさに“やるせない”としか言いようがない。
個人的な推測が正しければ、非常に勿体ない部分でミスをしたと思う(実際、私もミスリードであるとみなして減点させていただいている)。