2007-05-22から1日間の記事一覧

【+3】贄

いつも悩むところなのであるが、明らかに人間が人工的に為した怪異を“実話怪談”の範疇に入れるべきなのかどうなのか。 まさにこの作品がその判断の分かれ目に当たる。 結論から言うと、個人的には<許容範囲>であるということになる。 犬を宙吊りにして生け…

【−4】橋の上の出来事

後半部分に言わずもがなのことを書きまくって怪異の印象をぶち壊してしまった。 橋の上で異様な音(これが自転車かどうかは体験者の感性の問題だと思うが)が聞こえたという内容は特に珍しい怪異ではないが、“あったること”としては十分な怪異である。 とこ…

【0】癒し系?

怪異自体はなかなか面白いと思う。 全くスペースがないにもかかわらず、女性が隣に座っていると感じるというくだりは、特に体験した者でなくては語れない印象である(生身の人間が認識している“場所”概念と霊体のそれとは、存在する次元が全く違うために大き…

【0】一緒に

久しぶりの“猫”怪談である。 今までのパターンを踏襲して、いわゆる“和み系”の怪談になっている。 ただ以前の作品と比べると、作者の読者に対する意図的な操作はあまり感じられない。 それでも猫好きにとっては堪らない作品になるのかもしれない。 怪異に関…

【+2】怪談

作者の説明にミスリードがあったために、不満が残ってしまった。 多分作者としては、<声が聞こえる→いつも窓の下で中学生が喋るからそこにいるのだろう→気になって見ると人影がない→よく聞くと収納庫からの声だった>という展開をしたかったのだと推察する…

【−6】絵

この作品に書かれてある内容を怪異と認識するならば、遺書に「恨みます」と書かれてあるだけで呪いとみなさなければならない事態になるだろう。 はっきり言えば、恐怖のベクトルが全く違う方向に伸びている話を“怪異”と思い込んでいるだけである。 いわゆる…

【−5】ここで

正夢が正夢になる、あるいは予知夢のプライベート版というべき作品。 だが内容があまりにもつまらない。 とりあえず単なるデジャヴ現象で片付けられない内容であり、一つの超常現象であることには間違いない。 ただ、したり顔で語られるのもどうかと思う。 …

【+3】環

道から霊体が生えているというシチュエーションもなかなか興味深いが、それよりもオチの“ケンケンパ”には参った。 時折常識では考えられないようなことをしでかす霊もあるが、これはその中でも異色であると言えるだろう。 霊体の出現の全てに意味を求めるの…

【+2】ふすま

正統派というよりもノーマルパターンと評した方がいいのかもしれない。 怪異自体も小粒であり、それなりの怖さも書かれてある内容から想像できる。 ところが作者の立場から見ると、普通に書いてしまったら埋もれてしまうと不安に駆られそうになる。 そこで怪…

【+5】磯に棲むもの

有無も言わさぬ圧倒的な文章で、迫り来る怪異を描写し尽くした感のある作品である。 ここまでしっかりと書かれると話の信憑性を嫌でも感じてしまうし、また“あったること”の凄味が全編にわたって出ていると言えるだろう。 怪異の流れ自体は海の怪談としてさ…