【0】一緒に

久しぶりの“猫”怪談である。
今までのパターンを踏襲して、いわゆる“和み系”の怪談になっている。
ただ以前の作品と比べると、作者の読者に対する意図的な操作はあまり感じられない。
それでも猫好きにとっては堪らない作品になるのかもしれない。
怪異に関しては小粒の一言。
体験者自身が霊体である猫に対して「うちのではない」と認識しているから、単なる目の錯覚ではないと言えるだろうが、やはり怪異の弱さは否めない。
ダラダラと説明する必要はないが、具体的に違いを指摘していれば、もう少し印象は変わったかもしれない。
そして最後の一文は不必要だろう。
猫好きでなくともそういう想像は容易にできるし、多くの指摘があるように、このぐらいの感想は読者の読後の楽しみとして取っておいてもらいたいところである。
全体的には大きな欠点もなく、可もなく不可もなくという印象である。