【+2】連打

面白いことは面白いのであるが、それが有機的に怪異と絡まっているかと問われると即座に返答しかねる部分がある。
やはり気になったのは、兄のキャラクターが作り込まれすぎという点である。
兄について書かなければストーリーが分からない点があるのも確かであるが、弟の兄に対する感情をここまで書く必要性が果たしてあったのだろうか。
怪異性を強調するのではなく、単純にストーリーを面白おかしくするためだけに書かれたようにしか思えなかった。
怪異については非常に興味のある内容だと感じた。
特にインターホンを押しているはずが一瞬にして自販機のボタンを押していたというくだりは、この怪異の白眉と言っておかしくないだろう。
単なるテレポーテーションではなく、人智を超えた何者かの意図が見え隠れしているような印象がある。
それ故に弟が異変に気付き、仏壇に向かって一心に祈るという場面が非常に効果を上げていたと思う。
怪異の内容だけで十分評価できる作品と判断したので、兄弟のキャラクターを出すための記述は余計だと感じた。
よって、積極的な好評価までは至らず。