2007-05-24から1日間の記事一覧
留学生が見た異文化風習にまつわる怪談ということになるかもしれないが、残念ながら“泣き女”の風習は日本にはない。 体験者が誤って怪異の坩堝に放り込まれた経緯を書くためには“泣き女”と誤解した内容を盛り込まねばならないが、最終的には葬儀のために寄っ…
面白いことは面白いのであるが、それが有機的に怪異と絡まっているかと問われると即座に返答しかねる部分がある。 やはり気になったのは、兄のキャラクターが作り込まれすぎという点である。 兄について書かなければストーリーが分からない点があるのも確か…
こういう怪異は、いわゆるジャンキーの方が戸惑ってしまうように感じる。 この怪現象が一体どのような種類のパターンに該当するものなのか、判断つきかねるからである。 まだ起こっていない予知の光景だったのか、あるいはパラレルワールドのような異界を目…
全体的な印象として冗長さと饒舌さを感じた。 まず怪異の肝である鳥居の出現に至るまでの経緯が非常にまどろっこしい。 怪異自体が起こっていないわけでもないが、ここまで話を広げてもよいのかという感想である。 ガテンの人達の会話などは興味深い内容では…
インパクト勝負で出してきたと推察するが、中途半端である。 ゴミのあるところから「全身灰色の裸の男の子」が飛び出してきたら実際は驚くかもしれないが、文にしてしまうとそれだけでは何か物足りない。 目撃談なのに描写が足りないという印象なのである。 …
過不足ない書き方だと思うのだが、インパクトの薄さが目立ってしまった。 特に、時報が聞こえる可能性をことごとく否定する部分が説明調になってしまっており、ストーリーとしての面白味がない。 記録文であればこれで問題ないのであるが、何か無味乾燥な書…
次々と怪異の報告がなされているのであるが、散漫な印象が強い。 これも文字による怪談話の特性を理解せずに書いているために起こっているように思う。 口頭による怪談話は次々と畳みかけるようにさまざまな怪異を語れば語るほど、その恐怖は蓄積されていく…
多くの指摘があるように、タイトルの『はさみうち』という言葉が最後に引っかかってしまった。 怪談を数多く読んでいる人間は、どうしても個々の現象をパターンとして認識してしまいがちである。 (“意表を衝かれた”という評は、まさにこのパターン認識を前…
情緒の隅々にまで体験者の思いが染み通る、非常にウエットな作品である。 怪異らしい怪異がないための減点はあるものの、それでも並の好評価では済ませられないレベルの高さである。 特に秀逸と思わせるのは、体験者の成長に合わせるかのように語られる【流…