【−2】かなしばり

“金縛り”ネタは余程の内容でなければ評価を上げることは至難の業という見解である。
この作品での現象は、肉親の声を真似た何ものかの出現が付加されている内容でであり、その点は希少性を感じるところである。
だが、この怪異が本当に起こったものなのか、あるいは全くの夢オチなのかの判断を下すだけの物証がないのも事実である。
このような場合、金縛りネタでは殆どが後者の“夢オチ”の可能性を挙げて減点とするのが常である。
要するに「夢だったんでしょ」か「寝ぼけてたんでしょ」という反応である。
朝起きて母親に尋ねて来ていないと言われたから怪異という解釈は、当然の大甘である。
さらに信憑性を奪っているのが、文章の表記である。
「です・ます調」による緊迫感のない書き方、そして紋切り型の体験者の感情を表す表記など、幼稚さを感じざるを得ないレベルの文章と断じて良いだろう。
こういう書き方で「恐がれ」と言われても、噴飯ものである。
結局のところ、「読者投稿作品を読まされている」というお決まりの評しか出すことが出来ないというところで終わってしまった。