【−3】お互い様

夫婦で金縛り体験であるが、内容の低いものがいくら積まれようとも結局は内容の高いものには成りがたいという実例のようなものになってしまっている。
その原因となっているのが、夫婦だから同じ部屋で寝ていると推定するが、二人の金縛り体験が全然シンクロしていないという事実である。
相手の金縛り状態を見ながらお互いが自由に動いているところを見ると、二人が同時に金縛りに遭っていないことが分かる。
しかも相手の金縛り状態の時の状況が全く違う。
要するに同じ原因によって金縛りに遭っているとは言えないのである。
これならば夫婦で金縛りといえども、その意義は全くない。
ただお互いの金縛り状態を見て手をこまねいているだけの話である。
一人だけで金縛りにあったために物証のないケースよりはましかもしれないが、所詮はただの金縛り二連発である。
そしていくつか指摘があるように、夫婦でありながらなぜお互いの状況について話し合いが持たれないのだろうか。
むしろこちらの方が何か裏があるのではと思わせる部分である。
怪異の肝よりも謎が多い場所があるのもどうかということである。