【0】リフレイン

電話怪談の王道というべき作品である。
この作品の怪異の肝は、掛かってきた電話の主の異常性であるだろう。
電話の主が霊であろうが、生身の人間であろうが、無機質な言葉の繰り返しをするというのは体験者にとってはかなりの怖さがある。
その言葉自体が何か危害を及ぼす内容でなくとも、発せられる言葉に禍々しさを感じてしまうことは間違いないだろう。
ところがこの作品の場合、そのもっと肝となる部分が弱いという印象がある。
このリフレインで迫ってくる場面のボリュームがないという点、そして説明描写が通り一遍で終わっているという点が弱さの原因である。
もっと粘着質な厭さを出してこなければ、この種の恐怖感を創出することは難しいと思う。
着信履歴がないとか機種変更をしたという後日談で恐怖を表すよりも、ダイレクトに繰り返される言葉の恐怖をピンポイントで突くようにしないと、どうも座り心地が悪いと感じるのである。
この手の話では初めて聞くセリフだったのでマイナス評価とはしなかったが、この手の怪談話の成功例を読んで、なぜしつこい繰り返しが恐怖に必要なのかを汲み取っていただきたいと思う。