【−1】金縛り

何度もしつこく書いて申し訳ないが、金縛りネタは余程の特異性を持つか、あるいは付加価値が高いか、決定的な物証があるか、いずれかの条件に該当しなければ、むしろジャンキー・マニアの類ほど厳しい評しか出せないということである。
金縛りの最中に黒い変な動物のようなあやかしを見たというのは、いくぶんか特異性のある話のように感じるが、やはりインパクトの弱さは否めない。
付加価値と物証という点に関しては、この作品では殆どないに等しい。
ただこの作品でよいと思ったのは、体験者が金縛り体験を非常に恐れているということが明確に分かる点であろう。
否定派が体験を通じて肯定派に転じると、かなり強固な肯定派になるという実例である。
この部分だけはなるほどと納得のいく書き方であったと思う。