【+2】壺

壺があやかしの原因であることは明瞭なのだが、その因果を見極めることは不可能である。
仕事場に現れた老人のあやかしは壺と関係のある人物であり、壺を傘立てにしてなおかつ無造作に扱われたために出てきたと想像するのは容易である。
しかし壺と老人の関係が全く分からない。
あくまで推測の域であるが、焼かれた壺の土の中にこの老人の遺骨が混ざっていたのではないだろうか。
だから本来の用途以外でぞんざいに扱われたことに対して怒りをぶちまけたということが、この怪異の真相なのかもしれない。
台湾製の壺”と書かれているせいかもしれないが、何か中国の志怪に通じる雰囲気がなかなか良かったと思う。
ただ文章については推敲の余地があるように感じた。
どうも体験者の言動をいちいち書いている部分に問題があるように思うので、思い切って体験者の存在を最小限に書き留める程度にすればよかったのかもしれない。
どちらかというと掌編でこぢんまりとまとめた方が、作品の味が出たように感じる。