【＋３】手形

とにかく文章が青い。
一生懸命事実を書こうとしているのだが、起こった出来事の全てを文章の中に詰め込もうとしているために、とても読みにくい文章になってしまっている。
まさに情報に溺れるという印象である。
次々と起こる怪異から逸脱するようない余計な内容はないのだが、起こった事柄を一つたりとも逃すまいとして、やたら肩肘張った書き方だから、読んでいて非常に疲れた。
怪異を表現することが怪談の本質だから、その部分は徹底的に描写する必要がある。
だがそれ以外の、例えば体験者の心情や怪異体験以外での様子や行動を事細かに書いていくと、あまりにも膨大な情報でどれが肝なのかが明確でなくなっていく。
メリハリを付けることが必要なのである。
全体を通してみれば薄くなっている部分もあるし、逆に分厚くしなければならない箇所もあるわけである。
そこが一本調子だとどうしても読者は読んでいて疲れを感じるのである。
ただしこのような文章で見劣りするレベルではあるものの、それを上回るだけの怪異であると思った。
事故と怪異の因果関係も明瞭であるし、怪異の出現が強烈である。
ネタの希少度と強烈さを考慮すると、やはり水準以上の内容であるとすべきだろう。
文章が良ければ、相当な大ネタ作品に仕上がっていたと推測する。
なお文章に関する減点については、スキルの問題であると思うので、最小限度に抑えてある（怪談に対するセンスのずれを感じないので、訓練次第だということで）。