【0】捕捉

“オフィスの怪談”の定番中の定番「残業中に起こる人の気配を機械が捉える」話である。
防犯センサーのLEDに反応するケースは初見であるが、この種の話ではどんどん新しい機械が導入されてくるので、初見であっても驚くべきことではないという意見である。
昭和時代であれば足音や物音だけだったのが、自動ドア、防犯チャイムや防犯ビデオと、霊の認知の方法も進化しているわけで、LEDの反応も当然の成り行きでしかないところである。
そういう観点から見れば、取りたてて希少性があるということでもなく、むしろ定番の怪談をそこそこの筆力で書いたというだけの印象しか残らない。
むしろ“かさかさ・ざわざわ”で終わってしまった物音の方を具体的に書いてもらった方が、怪談としては面白かったかもしれない。
最後のオチの部分は、妙な因果関係を出してこずに、同様の体験をした者がいるという程度でとどめたのがよかったと思う。
全体的には可もなく不可もなくというレベルという結論である。