2008-02-26から1日間の記事一覧

【+4】口移し

はっきり言って、ネタで完全に圧倒されてしまった。 どういう呪術であるかはわからないが、とにかく体験者の目の前で劇的に病気を治したという事実は揺るぎなく、その希少性だけで十分価値のある内容である。 特に秀逸なのは、呪術の儀式に関する所作がかな…

【0】捕捉

“オフィスの怪談”の定番中の定番「残業中に起こる人の気配を機械が捉える」話である。 防犯センサーのLEDに反応するケースは初見であるが、この種の話ではどんどん新しい機械が導入されてくるので、初見であっても驚くべきことではないという意見である。…

【−2】常連

“実話怪談”の大会に応募してきた作品だから、取り上げられている客が“この世のものではない”方であると想像できたが、あまりに自然すぎて少々面食らってしまったところがある。 座っている場所が、普通の人なら座らないような所であることが唯一のカギになっ…

【+4】肉球

怪異とそれに絡んでくる人物キャラの気持ち悪さが見事に混じり合って、強烈なインパクトを与えてくれる秀作である。 特に須賀氏のキャラクターが冒頭からよく作り込まれており、クライマックスの場面での壊れっぷりがあまりにも自然であったため、作品全体の…

【+3】お経

読経の入ったテープと父親の死の関連性も定かではなく、それどころかそのテープの存在すら事実だったかあやしく、下手をすると怪異とおぼしきものの全てが偶然の産物である可能性すらある。 しかし、のほほんとした怪異譚と想像させておきながら、いきなり急…

【−3】もう大丈夫

ウエットな内容を含んでいることは間違いないが、あまりにも紋切り型の表現に終始しており、正直“感動のお仕着せ”という風に感じてしまった。 特に夢に出てくる彼の言葉はまさにパーフェクトでダイレクトすぎて、少々出来すぎという印象が最後まで鼻につくほ…

【+2】どすんっ!

“幽体離脱”と一口に言っても、様々なパターンがある。 本人が意識しているしていない、可視状態かそうでないか、実体化しているか気体や光球状なのか、質量のある物質化しているかいないかなどで、呼び名も“幽体離脱”だけにはとどまらない。 この作品の場合…

【0】盛り塩

かなりきつい怪異を経験していながら、その当初はあまり恐怖を感じることなく時間が経過し、あることがきっかけとなってその恐怖に慄然とすることがある。 この作品が典型的な例なのであるが、このパターンの場合、いかに読者の共感を得ることが出来るかがカ…

【+1】賜る力

40歳を過ぎてから得た霊能力といい、その力を得たエピソードの不可思議さといい、非常に珍しい話である。 おそらく風呂場に現れた白蛇が神様であり、祖父はその霊能力が自分に授けられた目的を理解して、本業以外の仕事として難儀な相談に乗っていたものと…