【+2】どすんっ!

幽体離脱”と一口に言っても、様々なパターンがある。
本人が意識しているしていない、可視状態かそうでないか、実体化しているか気体や光球状なのか、質量のある物質化しているかいないかなどで、呼び名も“幽体離脱”だけにはとどまらない。
この作品の場合、おそらく“物質化”寸前までいっていた非常に珍しいケースだったように推測する。
当然物質化しようとしているのであるから質量があるわけで、そのようなものが身体に戻ってくるのであるから“音”がしてもおかしくない。
ただ希有な事例であることは間違いなく、幽体が身体に戻ってくる際に落下したような物理的な痛みを伴ったという話は聞いたことがない。
そういう怪異であるだけに、“痣”についての情報が欲しかった。
どの程度の大きさだったのか、部分的であればどの部位に出来ていたのか、痣の色や出来具合など、興味は尽きることはない。
書き方については“説明調”の文が多用され、描写に近い書き方がなされていても“伝聞体”で締め括られてしまって、とにかくまどろっこしい雰囲気になってしまっていた。
“登場人物の行動だけで状況を表す”こと、つまり描写で大半が展開されていれば、もっとスピーディーな印象が強まったと思う。
せっかくの内容だけに、少々惜しい気がする。