【−5】リアルマサコ

いわゆるサイコパス達の登場する恐怖譚であるが、結論からいうとこれを“怪談”と認めることは出来ない。
この種類の恐怖譚を一つの独立したジャンルとして確立させたのは平山夢明氏であることは間違いないが、氏がこれを確立したきっかけは『「超」怖い話』では載せられない非心霊系の話が集まってしまったからであると、著書で語っておられる。
つまりこの種類の話は元々怪談話から外れたものであるとして認識されて新しいジャンルとして登場してきたものであり、それをまた実話怪談の中に登場させるのはいかがなものかという意見である。
例えばサイコパス(それに類した性格を持つ者)が登場する内容であっても、その話の展開の中で明らかに科学的に説明の付かないエピソード(心霊的なもの以外も含む)が存在しているのであれば、怪談であると言っても問題はないが、この作品のように全くそういうものを含まない内容であれば、やはり発表する場所を間違えたとしか言いようがない。
ただ最低評価としなかったのは、恐怖(厭さ加減)という点で説得力のある書き方がなされていたところだけは評価すべきということである。