【−1】どうすればよかった?

落としどころは良い意味で唐突であり、その意外な終わり方は好印象である。
しかしそのオチに導くための伏線がことごとく切れてしまっていて、無駄ばかりが目立ってしまった感がある。
真っ先に思ったのは、なぜ体験者の彼が阪神大震災で亡くなったことが判ったのかという疑問である。
超短期のバイトで知り合った者同士だからフルネームを知っていたのかどうかの記述は最低限度必要だったと思うし、また最終直前の彼のセリフだけでは本当にその日に実家へ帰ったのか、また震災の起こった時には実家に帰り着いていたのかが判然としないのである。
唐突といえども、やはりあとで読み返した時に「なるほど」と思わせるような伏線は絶対入れておかねばならないだろう。
それに対して、無駄な記述が飽きるほど出てくる。
特に二人の会話はリアリティーを出すためにここまで伸ばされたのかもしれないが、それにしても長すぎる。
関西弁だから余計に漫才のように感じるが、ここまでやりとりを書く必要はないだろう。
これだけの怪異の内容としては冗長というのが正直な感想である。
スピーディーな展開でこのオチが来たら納得いくのであるが、やはりもたつき感があまりにも酷く、マイナス要素となるということで。