【+2】人違い

小粒なネタながら、非常によくまとまった作品に仕上がっていると思う。
読んでいて鮮やかに4コマ漫画のイメージが頭の中で完成していたほどの、しっかりとした起承転結が作られている。
当然ネタ的にも面白いものがあるのだが、書き手がそれを短い文章の中で活かしきっているからこそ、ビジュアルに直結できると言えるだろう。
霊が人違いをして頭は叩くところからシュールな笑いなのであるが、そこだけで終わらないところがこのエピソードの素晴らしいところである(ただの人違いであれば類話は多数あるだろう)。
霊が驚きそして上空へ飛び去る(逃げていく?)ところなどは、まさに不条理系マンガを地でいくほどのおかしみがあり、そしてポソリと謝る場面は良い意味ではまりまくっているだろう。
一瞬創作ではないかと思ってしまったほどの内容である。
描写部分で少し足りないと感じるところもあるのは確かだが、笑いを取る形であればこのぐらいの荒っぽい削り方でテンポを重視させるのが正解ではないかとも思う。
小ネタであるために高い評点を出さなかったが、ある意味傑作の部類に入る作品である。