【０】ピョーンと

超−１

ネタとしては小粒な怪異をそれなりにコンパクトにまとめたという感である。
ただし必要な部分まで削ってしまったところがある。
怪異の肝であるあやかしの容姿が分かりそうで分からない。
“たわし”が容姿そのものも表現しているのか、あるいは毛並みだけを表現しているのかが判然としないため、すっきりとイメージできないのである。
また、そのあやかしが体験者の背中から飛び出していく感触がしっかりと表されていないために（特に一回目は電車内というかなり特殊な場所だけに、その詳しい状況説明が欲しかった）、こちらの方もイメージが湧きにくいと言える。
ネタ自体が小粒なので、致命的な瑕疵とまでは認めなかったが、説明不足という印象は拭えないところである。
社の神様というよりはその眷属に当たるものが憑いていたと想像するが、下手な解釈をせずに“あったること”のまま書いた点は正解だったと思う。
可もなく不可もなくという評価である。