【0】代車

轢き逃げされて死んだ警官が犯人探しのために夜な夜な一人検問しているという話は、かなり有名な都市伝説である。
季節外れの服装をしていて、不審に思った運転手が幽霊であると気付いて大騒ぎになるというオチであり、まさにこの作品の展開とほとんど同じと言っていい内容である。
それ故に、途中からかなり眉唾な感じで読んでしまった次第である。
胡散臭いと感じたのは、半年前の事件にもかかわらず、既に警官の幽霊が県外ナンバーの自動車を呼び止めているという噂がかなり浸透している事実である。
特に年輩の女性がこのような噂を語っている点を考えると流布のスピードは尋常ではないと感じるし、県外ナンバーの人間だけが呼び止められるのであれば、地元の人間がいち早く噂を知っているのも何か違和感を覚える(例えば実家の人間が道路事情に詳しい稼業であり、業界関係者として結構早くから噂を聞き及んでいたとなれば話は別であるが、もしそうであるならば提示すべき内容であったと思う)。
ただ20年前の事件であり、逆にこの事件が都市伝説のルーツである可能性が否定できないため、決定的なマイナス評価とすることが出来なかった。
それでもなお有名都市伝説と全く変わらない展開である以上は、やはりプラスにも出来ず、結局可もなく不可もないという評価とさせていただいた。
何かもう一つポイントとなるディテールが欲しいところである。