【−2】マハーデーヴァの加護

インドの神々が絡むエピソードであり、ある意味スケールは大きいと感じるのだが、怪異のパターンとしては“神様にお祈りしたら病気が治った”だけの話であり、その神様がたまたまインドの神だっただけのことであるという認識である。
それ故に、凄いなと思いつつも“よくある話”という印象で終わってしまった。
書かれてある内容から、何らかの加護があったことを見て取れるだけの説得力があるので、それほど眉唾物であるようには感じないが、それでも“実話怪談”としてはあまり興味をそそられる内容ではなかったのは確かである。
そして問題点は、これ見よがしにひけらかされる蘊蓄である。
ほとんど誰もが情報を持っていないだろうという内容であれば説明は必要であるが、インドの神々についての知識はこの場で特に書かなくとも、知りたければいくらでも簡単に手に入るものであり、読者からすれば書き手の自己満足にしか見えないだろう。
さらっと触れる程度の書き方であればまだしも、わざわざ段落を分けて蘊蓄語りをするような内容でもなく、鼻につくというレベルのものであった。
それから“時差が2時間”というのもかなり致命的な誤表記であり(実際は3時間以上とのこと)、こういう常識的な事実で誤りがあると一気に信憑性を失うので、こういう部分は絶対に確認をして誤りを正しておかないといけないだろう(おそらく書き手自身の勘違いであると思うが、こういうちょっとしたことでも気にする人間がいるということである)。