[超−1]【+2】校庭

作品としては隙だらけ、冒頭部分からかなり脱力させるような間の抜けたエピソードであり、ある意味構成としては自滅していると言ってもおかしくないレベルの内容である。
この作品に関する重大な“発見”をするまでは、間違いなくマイナス評価以外はあり得ないという気であった。
“発見”とは遭遇したあやかしと思われる少年の出自に関するもの、即ち“誘拐事件”が実際にあった出来事であると判断でき、なおかつ怪異に直結する新事実を得たのである。
事件が起きた場所は東北の某都市、年代は昭和後期の9月上旬(“数年前”という表記があるが、現在からではなく体験時からという意味で書かれたものだろう)。
物議を醸した犯人であるが、作品に出てきた姉弟は共に従犯であり(弟が未成年であるのは事実)、主犯は20代の男で、勤めていた会社の社長の息子を誘拐して殺害、草むらに遺棄した。
そして重大な発見の核心は、犯人が少年を誘拐した現場が小学校の校門だった、即ち“友人と一緒に校門を出てきたところを強引に捕まえて車に押し込んだ”のである。
この事実を知ってしまった以上、この怪異と誘拐事件とを結びつけることは非常に容易いことであり、断定こそ出来ないがかなり確定的と言ってもおかしくないレベルの内容であるべきだろう(疑えばきりがないが、実際の事件との関連性が指摘される怪異談で、この次元の共通性で語られる内容は相当数あると言えるだろう)。
作品としての評価は劣悪と言わざるを得ないが、実際の重大事件との関連性が指摘できる体験談ということで、大きく評価を上げさせていただいた。
欲を言えば、この事件についても、地元図書館などに収蔵されている新聞の縮小版などで全容を確認して作品に盛り込めば、自ずと評価を良くしていただろう。
くれぐれもこの評点が書き手への純粋な評価でないことは理解されたし。