来年の予測

まずは去年の予測の結果…
◆怪談系はブレイクの予感→ 当たったと言ってもおかしくないだろう
◆UMAは侮れない→ 海外の情報は活発。だが国内は低調ということで不発
◆予言・都市伝説は低調→ ある意味当たりだが、後述するように新たな展開が待ち受ける
◆「語り」という新しいジャンル→ 実はこれが怪談系躍進を支えた一番のブレイクジャンル

では来年の予測を…

◆怪談系は堅調
実力のある新人が出てきていることは確かだが、いかんせん、頭がつかえてしまっているという感がなきにしもあらずである。言うならば、弾は籠められているが発火装置がまだ動かないという状態になっているのかもしれない。創作系の方はまだまだ実力ある書き手が出そうだが、実話系の方はおおよその書き手が出揃ってしまったような気がする。特に【超−1】は実力者がやや固定されてきたようにも見える。それなりの結果は出てくるとは思うが、よほど凄腕の書き手が登場しない限り躍進ということは難しいのではないだろうか。逆から見れば、ある程度安定供給は確保できているとも言えるだろう。そろそろ右肩上がりばかりというわけにはいかないのが、来年の傾向という予測である。

◆予言系は確実に日常に浸透
とにかく2012年問題である。これを中心に予言系は日常レベルにまで取り上げられる存在になってくることは、ほぼ間違いない。ただしこれが恐怖感を煽るだけのものになってしまうのかどうかは、マスコミ特にテレビでの扱い加減によると思う。地球滅亡とかアセンションとか、いわゆるオカルト色の強い展開になればなるほど反動が大きくなるので、環境問題とかのゆるい問題提起で進めてもらう方が安心である。あとは天変地異の頻度による。あやかしのジャンルとしては一番目立った存在なることだけは、予測レベルを超えて約束されていると言える。

◆「語り」はトレンドになれるかも
今年とにかくブレイクした。きっかけは1月に行われたテレビ東京の番組。稲川淳二を筆頭とするいわゆる“芸能人語り部”以外の存在がクローズアップされた。言うならば専門的怪談語り部が露出する機会が非常に増えたということ。そして何と言ってもNHKが百物語の語り特番をやったことに、非常に大きな意義を感じる。またネットラジオによるトークによる怪談披露も定着しているし、各地で怪談話の会の催しが開かれるという情報も多数耳にするようになった。正直言うと、まだどのような展開が出来るのか未知数の部分もあるが、語り部の活躍次第ではとんでもないことになりそうな可能性を秘めていると言えるだろう。紙媒体とは違うので、私の本来のテリトリーからは外れるのだが、それでも一番の注目株であると断言しておきたい(私個人とも縁のある方々が活躍されているので、その点でもしっかりと応援したい)。

◆妖怪とUMAは微妙
妖怪系の方はNHKの朝ドラ次第という気もしないでもない。文章というよりアートの方にどんどんシフトしている気がするので、そちらの部門では需要がこれからも高まっていくのではないだろうか。ただ書籍関連となると、やや人材が限られてきているという感じである。こちらもきっかけがあれば凄いことになりそう。UMAも今年1年の状況を見ると、寂しい印象がある。どうしても国内でニュースがないと、単発的に話題になってもブームにまでは至らないという印象である。カッパあたりが捕まってくれるといいのだが…

◆都市伝説はゴシップと陰謀の渦
都市伝説というジャンルそのものが現在過渡期である。ただ大きく幅を利かせているのが、芸能関係や政財界の裏話、いわゆるゴシップと陰謀ネタである。おそらく来年もこれらが主流となって動くことになるだろう。また軽い小ネタの実話怪談話が都市伝説のような扱いになっていく可能性もある(既に“小さいオッサン”の話などは定番化している)。ある意味、あやかしビギナーの入門場としての立ち位置を鮮明にしていくように考えられる。コンビニ本を中心に結構頑張ってくれそうなジャンルであると言えるだろう。

いろいろあったが、あっという間の1年であった。やり残した方が多かったように思うが、それは宿題ということで持ち越していきたい。とにかく2012年のあの日までは、それなりに継続の予定である。

では、来年も『幽鬼の源』は続きます。