超−1

『寂しさの行方』

いわゆる“見える”人に焦点を当てて、その心情を吐露させる展開である。怪談を愛好するが自身は霊感を持たない人間にとっては、ある意味興味津々、ただし決して理解しようがない世界でもあるわけで、非常に重い気分にさせる内容である。この作品は、そのよう…

『ひゅ。』

高齢者が子供時代に体験した、ノスタルジックな怪異譚である。戦前から高度成長時代が始まる前ぐらいまでの時期にあった体験談ということで、ある種“古き良き日本”を彷彿とさせる内容が多いのが特徴である。以前「戦争怪談は希少。特に戦場の怪談は、体験者…

『GAME』

臨死体験を扱った怪異譚であるが、完全に書き方を誤ってしまっていると言えるだろう。実話としての信憑性というものを、書き方によって全て失っているという意見である。 臨死体験(あるいは幽体離脱)を語る場合、一番大きな問題は“信憑性”をいかにして獲得…

『去りゆく』

徐々に霊体が体験者から離れていくという怪異が珍しい。おそらく別れを告げに来ているだろうと推測できる行動なのであるが、実際に長期間にわたって少しずつ立ち位置を離していくことでフェイドアウトするというケースはあまり記憶にない。その対象となる人…

『肝斑-しみ-』

怪異の原因が明確であり、その現象自体も誰もが認知できるものである。この種の現象として因果関係がはっきりしており、なかなか興味深い超常現象であると言えるだろう。ところが、これだけ明快な因果にもかかわらず、書き方のためにまどろっこしい展開にな…

『毎度!』

小気味よいテンポでさくさくと読ませる作品である。一文一文が短く、そして的確に描写されているために、情景が把握しやすい。そのために読み手が場面を容易に想像でき、しかもそれが連続して展開していて飽きさせない。言うならば、一文が漫画の一コマのよ…

『紙ヒコーキ』

同じ行為が繰り返されつつ、それがどんどんエスカレートしていくことで怪異のクライマックスを迎えるという展開である。落ちている紙飛行機を次々拾い上げ、ようやくその真意に気づくあたりから一気に読むことが出来た。怪異の展開もその結末も、陳腐と言え…