【−2】誰の?

作者が想定した怪異の肝と、実際の怪異の内容にずれがあるように思う。
タイトルからして、髪の毛が窓の外を横切った不思議よりも、カツラという概念にこだわりすぎているように見える。
そのせいか、髪の毛に関するディテールが絶対的に不足している。
例えば、目撃したのが何階なのか、長かったのか短かったのか、何色だったのか。
そういう怪異に直結する情報がないため、怪談として淡泊すぎる話になってしまったと思う。
それこそ「あり得ない」と一言で片付けられても致し方ないレベルである。
体験者のボケっぷりは面白いのだが、結局そちらの方が話のメインになってしまっており、そういう点でも不満が残る。
やはり怪談話だから、怪異についての詳細な情報は欲しいところである。