【+4】奇禍

連鎖する怪異の典型であるが、ここまで連続すると、ちょっとした怪異でも恐怖感を煽ることが出来る。
だが、この作品では運転手の状況が後になればなるほど深刻になっているから、さらに恐怖感がアップするように感じる。
最初の2人は事故に“巻き込まれた”全くの被害者である。
3人目はこれとは異なり、病気という不可抗力ながら、自分自身が原因となって状況が悪化している。
さらに4人目は自分の意志で不祥事を引き起こし、ついに5人目に至っては自ら人身事故を起こして逃げ去っている。
圧巻は6人目の家族ごとの失踪(しかも状況から考えると、不可解としか言いようのない出来事)であり、ここに来て怪異は絶頂となる。
その後に7人目の問題が報告されているが、作品に書かれただけの内容であれば、現在進行形であることの主張であっても、出すことは少々難しいのではないかという意見である。
なぜなら、6人目までの流れを見ると、作者が気付いているいないにかかわらず、状況が悪い方向へエスカレートしているからである。
不謹慎な言い方であるが、仮に7人目の運転手の病状が“余命いくばくもない”という情報が入っていれば、書かれた効果は絶大だっただろうし、究極的な絶望の状況に思えるだろう。
新車が怪異を連続して引き起こす内容も目新しいし(多分、最初の事故で“何か”をもらったのだと推測する)、書き込みが丁寧で読みやすかった。
やり方次第ではもっと強烈な作品になれるようなところもあったが、おおむね良作と言えるだろう。