【+2】じゃっじゃっ

何とも味のある怪異である。
またそれを活かすための文章が内容・量ともに適切であると感じた。
音に反応するあやかしだが、読経などの声に対して反応するケースはあっても、特殊な音にだけというのはあまり聞いたことがない。
しかも音の出所を間違えてしまっていることで、却って出現の目的が純粋に音であることを表しているところが心憎い。
またその失敗を気にしてその後現れなかったようにも読めて、なかなか奥深いものも感じた。
ちょっと気になるのが、体験者の言動。
多分この作品にある体験が最初で最後のようなのだが、毎日デッキブラシで床をこすっているはずなのに、なぜこの日に限って(出現後5日以上経っていることは明らかだ)体験者に憑いたのか。
また初めてなのに妙に落ち着いて対処しているように見えてならない。
このあたりの状況が上手く処理できていれば、評価は高まっただろう。