【+2】万力

次々ととんでもない怪異が続き、それを時系列的に描写した内容である。
書き方の手法としては正攻法であり、特別奇を衒ったところもなく、真面目に書いているという印象である。
怪異の一つひとつが異常性の高いものなので、あまり凝ったことをしなくても十分読ませてくれる作品であるだろう。
しかしネタの最後を飾るテレポーテーションに関する記述は、怪談の作法としては少々横着した感がある。
他の方のコメントにもあるように、移動した距離がどれだけのものなのか明確に書かないと、この怪異をきっちり説明したことにはならないだろう。
特にこの作品の場合、もがいていた時間内で辿り着ける距離に自宅がある可能性があるので、距離によって怪異の印象が変わるかもしれない(例えば、自宅と目と鼻の先の距離であれば、テレポーテーションというよりも単に記憶が飛んだだけという印象になるし、時間的に到底着けない距離であれば、何らかの物証になるだろう)。
ネタの怪異を表現する方法は作者の技量に任せられているが、最低限度必要な条件を押さえることが前提にあることは間違いない。
最後に手抜かりをしたという気がしてならない。